あやかし御殿
「そうか、そうか。それはまた
「そうなんだよ! むちゃくちゃ
「ねぇねぇ! これみてみて! 一本つむりってできる?」
「ギャハハハハ!」
「ワハハハハハ!」
あやかし通りの入り口で
二人は玉藻に案内されるまま、通りの一番奥に建てられた四階建ての
この時代、二階建ての建物ですら大通りに面する商家宅の店舗兼自宅に限られていた。そんな中、四階建ての巨大建築は凄まじいまでの
そしてその内部はと言えば、広々とした吹き抜けの大広間から各部屋へと赤い
「ほむほむ。相変わらずここは
「心配無用じゃて姫様。雑魚鬼ごときにやられる儂らあやかしではありませぬ。それにほれ、こちらの
あやかし
ぬらり翁は実に気さくで人当たり良く、半ば歪んだ顔と、大きく伸びた後頭部が
凪と奏汰はふるまわれた茶と、とろけるような甘さの冷や水を口にしながら、三人の周囲で所構わず遊び回るあやかしの子供たちの相手もしつつ、ぬらり翁に事の次第を説明する。
「
「ほほう。聞いてはおりましたが、こうして改めて見ても到底そうは見えぬ剣殿の
「うおおおお! 勇者トルネードオオオオ!」
「キャハハハハ!」
「もっとやって! もっとー!」
その全身に六人ほどの子供たちを貼り付けたまま超高速回転する奏汰をみやりつつ、それでも
ぬらり翁は腕を組み、片手を自身のかくばった
「いや、
「ほっほ……相変わらずお優しい。
「そうか? それはお互い様というやつじゃの!」
幼い頃から一人神社を抜け出し、このあやかし通りであやかしたちと無邪気に
ぬらり翁はそんなかつての凪の姿と、今の美しく成長した彼女の姿を重ねて目を細めると、何度か
「まあ、休息といえばまずは
「なるほどの。主の言う通りじゃ。ならば、ついでに私もしばらくこっちで世話になっても良いかの?」
「なんとなんと。それは皆の衆も喜びましょうて。これは大宴会の用意がいりますな」
ぬらり翁の提案を受けた凪は顔を
「しかしどういう風の吹き回しで? そう心配せずとも、剣殿も我らにとっては大恩人。取って食ったりはしませんぞ?」
「んーにゃ! 取って食ったりしそうな女狐が一匹おる。ちゃんと私が気を張っておかんと、奏汰がゆっくりできんのじゃ!」
凪はそう言いながら
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