位を冠する者共
「すまない二人とも! 余の代わりは頼んだぞ!」
「言われるまでもない! ゆくぞ
「おっしゃあああああ!」
瞬間。
「キキキ……神代に
「
「ならば――――決まりですなぁ!」
全く同じタイミング、同じ加速で二体の鬼へと飛びかかった奏汰と凪。二人は互いに声もかけぬまま僅かに目配せすると、天と地に別れて移動した各々の相手へと、弾かれるように再加速して挑みかかる。
「勇者キイイイイック!」
「ヌウアアアアアアア!」
加速の勢いもそのまま、
だが煉凶はその衝撃が200トンにも及ぶ奏汰の蹴りを、抜き放った大剣とその体格通りの凄まじい力で防ぎきっていた。
「止めた!?」
「
煉凶は奏汰の蹴りを受けても傷一つ付かない大剣で半ば宙に浮いたままの奏汰を弾くと、次の瞬間にはその遠心力を利用した加速で地面に着地した奏汰の眼前へと迫る。その様は正にあらゆる存在を飲み込み、粉砕する暴風のよう。
「どうした、もっと見せろ」
「っ!?」
大上段から振り下ろされる煉凶の大剣。奏汰は即座に手に持った聖剣リーンリーンを横倒し、全てを叩き潰す勢いで迫る大剣の一撃を受け止める。
瞬間、奏汰の足下を中心とした大地が潰れるようにして一瞬で
「ぐぎぎぎぎぎぎぎっ!」
「これを正面から止めるか。人間とは思えぬ
自分の半分ほどの背丈しかない奏汰が、片手でも扱えるような長剣で自身の一撃を受けきったことに感心を見せる煉凶。
そうしている間にも奏汰の足はミシミシと音を立てて地面へとめり込み、周囲の大気を押し出すほどの激突の圧が互いの剣と剣の間から放たれていく。
「こ、この野郎……ッ! そっちがその気なら、俺にも考えがあるぞ……っ!」
「それを見せろと言っている。貴様が死ぬ前にな」
「っ――――後悔、するなよ!」
為す術もなく地面へと押し込められていく奏汰。だがその時、奏汰の持つ聖剣リーンリーンの輝きが変化する。
「そんなに見たいなら見せてやる――――! 超勇者の力を!」
「……これは!」
それは
「キ!? なんですか、あの不快な光は!?」
「神式――――!
「グエッ!」
奏汰と煉凶が凄まじい肉弾戦を演じる地上から十メートルほど上空。
自身の周囲にリング状に
「この
「ギギ! これはこれはご無礼を、神代の巫女様。私はもうほれこの通り、顔も一つ潰れ、大層情けない姿となりました。ここはどうかこの潰れた顔に免じて――――」
「――――どうぞ、死んで下さいませ。キキキキキ!」
「むむむっ!?」
残された三つの顔で狂ったように笑う五玉。五玉の小さな体が凪の周囲を旋回するようにぐるぐると
「ちっ!」
五玉の狙いに気付き、後方に飛びすさろうとする凪。
しかし彼女の判断は僅かに遅かった。
凪の周囲を完全に包囲した五玉の体液。五玉の殺意と
「ぐぐ――――っ!」
「これぞ我が
凪はそのまま五玉の放った弾丸の雨に押し潰されるようにして地面へと叩きつけられると、それでも尚降り注ぐ無数の弾丸に飲まれ、
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