Episode:5 Diva, and arms

 組合を出て、【ホーネット奴隷商】に向かう。カリストは、宿の厩舎においていこう。

 ロックたちに聞いた話では、奴隷の扱いは、その階級によって変わる。

 高級奴隷は、高度な教育を受けた奴隷。この階級は、一般市民とほぼ同等。場合によっては貴族、商人のメイド、執事を務めることもある。見た目の良い奴隷に教育を受けさせることで価値を上げる商人も多いため、数は比較的多い。

 その次は戦闘奴隷。冒険者ランクでいうとB以上。高度な戦闘技術、または特殊技能を持つ奴隷。この階級は、そもそもランクBの戦闘力を持っていれば奴隷落ちすることはないので、正確に難あり、または訳ありであることが多く、その数も少ない。ゆえに、戦闘力次第で、際限なく高額になる。

 その下に一般奴隷。特筆すべき点のない、一般的な奴隷。人権をどこまで売り払うかで、根が決まる。人権は買ったものに譲渡されるのであって、それ以外の人からは人として扱われるべきである。が、色眼鏡で見られることが多いのは否定できない。

 最後に犯罪奴隷。この奴隷を購入できるのは、貴族、または伯爵以上の許可を得たもの。きわめて安価である。たいていの犯罪は奴隷落ちする場合も一般奴隷なので、犯罪奴隷は極悪犯罪者のみである。すべての人権を持たない。


 ロックから聞いたことを思い出していると、【ホーネット奴隷商】が見えてきた。資金は400万弱。さて、俺にできないことができる奴はいるだろうか。俺は戦闘以外てんでだめだからな…。


「ウヒッ。いらっしゃいませ。どのような商品がご入用で?」

「資金は400万。というか所持金がほぼ400万。この範囲で、奴隷商として進める奴と身体的損失を受けている奴を出してほしい。見て決めたい。頼めるか。」

「お安い御用で。ウヒヒッ」


 猫背の奴隷商はどこからか現れた誰かさんを連れて店の奥に消えていく。俺は別の誰かに部屋に案内された。


 数分後、猫背奴隷商が十人ほどを連れてやってきた。女6男4だ。猫背奴隷商によると、女性は左から、

 人族。黒髪、金髪、黒髪。高級奴隷。最低限の自衛能力あり。

 獣人族:猫。ほぼ立って歩く猫。斥候可能。

 男性は左から、

 小人族。小さいおっさん。接近戦が得意。 

 人族。白髪、黒髪。高級奴隷。

 獣人族:虎。力が強い。


 訳ありなのが、どちらも女性。

 多腕族:4本腕。赤い髪。右上、左下の腕が欠損。

 人族。金髪。喉と乳房に欠損。


「訳アリは二人でいくらだ?」

「多腕族が200万、人族が50万です。ウヒヒ。やはり欠損があると奴隷は桁が一つ落ちますねえ。」

「もらおう。」

「ウヒヒ。助かりますねえ。ではこちらが契約書です。えぇ。どちらも性契約も含まれていますが、欠損奴隷が正奴隷として売られることはほぼないです。正直助かりますです。ウヒヒヒ。」


 その後、少しだけ綺麗な服を着た二人が、連れられて来た。とりあえず、店から出る。その後、二人に5万ずつ渡す。


「二人とも、衣服、下着、かばん、その他生活必需品諸々を買ってこい。俺は一足先に宿に戻る。小麦の丘亭だ。わかるか?」


 二人がうなずくのを確認して、


「じゃあ、買い物が終わったら、そこに集合だ。宿に帰れば、その欠損も治してやれるかもしれん。では、解散。」


 二人が驚いたように見える。が、とりあえず宿でカリストと戯れることにしよう。


 カリストと戯れること一時間。二人が帰ってきた。どうやら二人でまとまって行動していたらしい。では、我が、癒しの炎をお見せしよう。


 部屋で、二人と向き合う。


「では、これより君たちの治療を試そうと思う。まずは、君の乳房だ。とりあえず、脱いでくれるか。」


 二人はおずおずと服を脱ぐ。まずは欠けた乳房に手のひらををあて、温かい炎へと炎化した。二人が驚く。多腕族の女性は炎化に驚き、人族の女性はその温かさに驚いているようだ。徐々に炎化を解き、手を放す。そこには、ただ美しい体があるのみだった。


 その後、多腕族の腕を治し、人族の喉も治す。喉の治療は炎を飲み込んでもらえば可能だった。二人は、途中からずっと泣いていた。


「…ぁ……あぁ。声が出る。私は、もう一度歌える…?」

「腕があるのだ。長らく忘れていた感覚だ……。きっとろくな死に方はしないと思っていたのに…。」


 二人が感慨に耽るのを邪魔だてはしない。こういう時間ならば、無為に待たされるのも悪くはない。二人が落ち着いたら、名前と過去、できる事を聞いてみよう。

 改めて二人を見る。金髪の人族は腰のあたりまでその美しい髪を伸ばしており、あどけなさと、【ホーネット奴隷商】に向かう。カリストは、宿の厩舎においていこう。

 ロックたちに聞いた話では、奴隷の扱いは、その階級によって変わる。

 高級奴隷は、高度な教育を受けた奴隷。この階級は、一般市民とほぼ同等。場合によっては貴族、商人のメイド、執事を務めることもある。見た目の良い奴隷に教育を受けさせることで価値を上げる商人も多いため、数は比較的多い。

 その次は戦闘奴隷。冒険者ランクでいうとB以上。高度な戦闘技術、または特殊技能を持つ奴隷。この階級は、そもそもランクBの戦闘力を持っていれば奴隷落ちすることはないので、正確に難あり、または訳ありであることが多く、その数も少ない。ゆえに、戦闘力次第で、際限なく高額になる。

 その下に一般奴隷。特筆すべき点のない、一般的な奴隷。人権をどこまで売り払うかで、根が決まる。人権は買ったものに譲渡されるのであって、それ以外の人からは人として扱われるべきである。が、色眼鏡で見られることが多いのは否定できない。

 最後に犯罪奴隷。この奴隷を購入できるのは、貴族、または伯爵以上の許可を得たもの。きわめて安価である。たいていの犯罪は奴隷落ちする場合も一般奴隷なので、犯罪奴隷は極悪犯罪者のみである。すべての人権を持たない。


 ロックから聞いたことを思い出していると、【ホーネット奴隷商】が見えてきた。資金は400万弱。さて、俺にできないことができる奴はいるだろうか。俺は戦闘以外てんでだめだからな…。


「ウヒッ。いらっしゃいませ。どのような商品がご入用で?」

「資金は400万。というか所持金がほぼ400万。この範囲で、奴隷商として進める奴と身体的損失を受けている奴を出してほしい。見て決めたい。頼めるか。」

「お安い御用で。ウヒヒッ」


 猫背の奴隷商はどこからか現れた誰かさんを連れて店の奥に消えていく。俺は別の誰かに部屋に案内された。


 数分後、猫背奴隷商が十人ほどを連れてやってきた。女6男4だ。猫背奴隷商によると、女性は左から、

 人族。黒髪、金髪、黒髪。高級奴隷。最低限の自衛能力あり。

 獣人族:猫。ほぼ立って歩く猫。斥候可能。

 男性は左から、

 小人族。小さいおっさん。接近戦が得意。 

 人族。白髪、黒髪。高級奴隷。

 獣人族:虎。力が強い。


 訳ありなのが、どちらも女性。

 多腕族:4本腕。赤い髪。右上、左下の腕が欠損。

 人族。金髪。喉と乳房に欠損。


「訳アリは二人でいくらだ?」

「多腕族が200万、人族が50万です。ウヒヒ。やはり欠損があると奴隷は桁が一つ落ちますねえ。」

「もらおう。」

「ウヒヒ。助かりますねえ。ではこちらが契約書です。えぇ。どちらも性契約も含まれていますが、欠損奴隷が正奴隷として売られることはほぼないです。正直助かりますです。ウヒヒヒ。」


 その後、少しだけ綺麗な服を着た二人が、連れられて来た。とりあえず、店から出る。その後、二人に5万ずつ渡す。


「二人とも、衣服、下着、かばん、その他生活必需品諸々を買ってこい。俺は一足先に宿に戻る。小麦の丘亭だ。わかるか?」


 二人がうなずくのを確認して、


「じゃあ、買い物が終わったら、そこに集合だ。宿に帰れば、その欠損も治してやれるかもしれん。では、解散。」


 二人が驚いたように見える。が、とりあえず宿でカリストと戯れることにしよう。


 カリストと戯れること一時間。二人が帰ってきた。どうやら二人でまとまって行動していたらしい。では、我が、癒しの炎をお見せしよう。


 部屋で、二人と向き合う。


「では、これより君たちの治療を試そうと思う。まずは、君の乳房だ。とりあえず、脱いでくれるか。」


 二人はおずおずと服を脱ぐ。まずは欠けた乳房に手のひらををあて、温かい炎へと炎化した。二人が驚く。多腕族の女性は炎化に驚き、人族の女性はその温かさに驚いているようだ。徐々に炎化を解き、手を放す。そこには、ただ美しい体があるのみだった。


 その後、多腕族の腕を治し、人族の喉も治す。喉の治療は炎を飲み込んでもらえば可能だった。二人は、途中からずっと泣いていた。


「…ぁ……あぁ。声が出る。私は、もう一度歌える…?」

「腕があるのだ。長らく忘れていた感覚だ……。きっとろくな死に方はしないと思っていたのに…。」


 二人が感慨に耽るのを邪魔だてはしない。こういう時間ならば、無為に待たされるのも悪くはない。二人が落ち着いたら、名前と過去、できる事を聞いてみよう。

 改めて二人を見る。金髪の人族は腰のあたりまでその美しい髪を伸ばしており、あどけなさを少し残しながらもあか抜けた顔は、今しか見られないであろうバランスを感じさせる。赤髪の多腕族は少し長い髪を後ろで一つに束ねている。戦士を感じさせる鋭い視線は、治療を通して徐々にその鋭さを失っていった。今なお残る厳しさは、きっと彼女の顔つきゆえだろう。その顔は、成熟した戦士を感じさせる美しさを持っていた。


 数分後、

「お見苦しい所をお見せしました…。」

「いや、構わんさ。それより、名前、話せる過去、できる事を聞きたい。体が治ってできるようになったこともあるだろう。ちなみに俺の名はゼロだ。」

「はい。私は、この国の王都で生まれました。幼少期から歌には自信がありました。酒場で歌い手をしていた頃、時折貴族様がお忍びで聞きに来てくださることもあったのですが、それがどこかの貴族令嬢には気に食わなかったらしく、誘拐され、喉と胸を焼かれ、そのまま奴隷落ちです…。奴隷商もきっとあいつらの息がかかっていると思ったので、この話をしたのはご主人様が初めてです。名前は奴隷落ちと共に捨てました。新しくつけていただければと思います。」

「なるほど。歌が得意…。高級奴隷階級だったということは、メイドのようなこともできるのだろう?戦闘はどうだ?」

「身の回りのお世話はお任せください。戦闘に関しては、暗器が多少使えます。対人での自衛程度ですが。」

「これから身に着けようと思うか?」

「ご主人様が望まれるのであれば。」

「よし、では今日から訓練を開始するか。最後に名前だが…。君は今日からモナ。ma donna我が淑女だ。」

「ありがたき幸せ」


 次に多腕族の女性。

「私は、四つ腕族。大剣と盾を使う。腕をなくしたのは冒険者仲間に麻酔を飲まされ、襲われそうになった時だ。死に物狂いで抵抗した結果、腕二本と引き換えになんとか殺してやったが、親族が伝手を使って私を訴えてな。あっという間に奴隷落ち。腕が二本では大剣と盾を同時に使えんから、戦闘力も大きく落ちた。当時は、ローズを名乗っていた。」

「ローズか。いい名前だ。今は資金が心もとないが、いずれ武器は買い与えよう。」

「了解した。」

「ちなみに俺は体術専門だ。あと、血濡れ熊ブラッディベアのカリストが従魔だ。」

「なんと…。やはり偉大なる主人なのだな。」

「では、カリストを連れて、冒険者組合に行こう。そこで、戦闘力の確認をする。ちなみにあの炎のことは秘密だ。俺の種族がフェニクスだとばれるのは避けたい。」


 こうして、ゼロは今日最大の爆弾を投下した。

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