第23話
「し、知ってたのか!?」
驚きの表情を浮かべるリック。
――今更何を言っているのだろうか? あれだけ殺気が出ていたのだから、襲ってくるのは当然だろう?
「そ、それならどうしてあんたは先に帰ったんだ?」
「――自分の仕事を終えたからだ。それ以上になんの理由があるとでも?」
「なっ……。し、仕事が終わったらそれでいいのか? あんたに情とかはないのか?」
「情でメシが食えるのか? 貧困街に住んでいるお前にならわかるだろう?」
「そ、それは……」
「――なら余計なことをいうな。他人に関与して良いことなんてないぞ?」
話はそれだけだと言わんばかりにリックから背を向ける。
すると彼は少し考え事をした後に、俺の前へやってくる。
「まだ何か用か?」
「――金さえあれば仕事をしてくれるんだよな?」
「――内容にもよる。俺にできないことはしない。報酬に見合った内容でなければしない。それだけだ」
「ならこれを受け取ってくれ」
リックは先ほど、神官からもらった金をそのまま渡してくる。
「――これは?」
「お姉ちゃんからアルクに渡してくれって頼まれた金だ。これでお姉ちゃんを助けてくれって」
「――なるほどな。何もわかっていないかと思ったら、自分の命が狙われていることくらいはわかっていたか」
「それでどうかな? このお姉ちゃんの依頼、受けてくれる?」
「――まぁ、今回の分だと心許ないが、前回はかなり大量にもらっているからな。仕方ない、受けてやるか」
俺は金をリックから受け取ると、急ぎ足で来た道を引き返す。
すると、リックは驚き、慌てて追いかけてくる。
「ど、どうしたの? なんでそんなに急いで……」
「もちろん、リーナの命が危ないからに決まっているだろう?」
「で、でも、お姉ちゃんは神官に……」
「その神官のうさんくささを感じて、この金を渡しに来たのだろう? そのまま金を持っていくこともできたのに……」
黒衣の聖騎士〜邪神の加護を受けし少年、聖女の騎士となる〜 空野進 @ikadamo
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