第30話「晴れの日」

結婚式当日、

僕は会場へ向かう途中で、

こんな光景を見た


一羽のつばめが、

空を滑空して降りてきて、

子供のいる巣に、

入っていった


チチチ、と鳴く子供らは、

親つばめの餌が欲しくて、

鳴き続けている


親つばめは、

また次の餌を得るために、

巣を空けてどこかに行ってしまう


その時、

子供らが待っているのは、

餌なのか、

親なのか、

どっちなんだ?と、

僕は思った


餌なのか、

親なのか、


考えているうちに、

式の会場についてしまった


僕は、

友達が集まっている場所へと、

走っていく


空は快晴、

気持ちも軽やかで、

すがすがしい


そんな晴れの舞台だ


だけど、こんな大切な日に、

僕は子供らのつばめを、

まだ心配している

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【詩】幻想の声 こわき すすむ @kowaki

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