第5話 東京町田にクルマを買いに行って無事に帰着
「第5話 東京町田にクルマを買いに行って無事に帰着」
夢を見ていました。愛車になったばかりのスターレットでひたすら高速道路を走っています。とっても快調で気分爽快です。ところがガラガラと音がしたと思ったらなぜかエンジンから煙が出始めて、見る見るうちに炎上していくのです。周りで知人が笑っています。助けてくれよ、おい。ねえ、水かけてよ。
何か知りませんが、目が覚めると見知らぬ景色が見えました。腕時計を確認すると、もう9時過ぎでした。あれからガソリンスタンドの事務室のソファーの上で、相当ぐっすり眠ってしまったようです。それから事態を思い出して、スターレットを探しました。フラフラと出て行くと、スタンドの兄ちゃんが気づいて来てくれました。
「すみませんでした。ぐっすり眠っていらっしゃったので起こしませんでしたよ。車
はできています。朝一でガソリン抜いて軽油に入れ替えました。もう大丈夫です
よ。」
「ああ、ありがとうございます。お世話になりましたねえ。かえって悪かったですね
え。すみません。」
「こちらこそ申し訳ありませんでした。」
こちらとしても、かえって迷惑かけて悪かったという気持ちが強かったので、丁寧にお礼を言いました。それから急いで荷物を積んで、お金を払って、ガソリンスタンドを出発しました。「JOMOのガソリンスタンドの皆様、本当にありがとうございました。」という気持ちでいっぱいでした。
昨夜の疲れが残っていてちょっと体がだるかったのですが、コンビニに寄ってパンとおにぎりとドリンクを買って胃に収めたら、すっかり元気になりました。人騒がせスターレットは元気で快調でした。それから松江の陸運事務所めざして、ひたすら9号線を西に向かいました。それにしても、このクルマはええです。スターレットの名に恥じずによく走るし、燃料は食わんし、何より運転していてほっこりできるというか、とてもリラックスできます。特に、こういう田舎の国道をのんびり流すにはもってこいだなあと感じました。買ってよかった。無理して買って良かったなあと思いました。
しばらく走ると、東松江の島根陸運事務所に到着しました。これからスターレットの名義変更です。ようするに、今付いている「横浜ナンバー」を外して「島根ナンバー」に変更するのですが、何か複雑な気持ちでした。なぜかというと、その頃は「横浜ナンバー」に少しあこがれていて、このまま乗ったらさぞかしカッコいいじゃろうなあと思っていたからです。日本中のあこがれの人気ナンバーワンの「横浜ナンバー」を外すのがちょっと惜しいと思ってしまいました。
さっそく窓口に行って、先週取ったばかりの車庫証明の書類を出して、マークシート書いてと手続きを進めました。陸運事務所の方はとっても親切で、一から十まで懇切丁寧に教えてくださいましたので、とっても気分良く簡単に名義変更(+ナンバー変更)できました。
税金を払って、ナンバーもらって、最後に自分でナンバーを付け替えればすべて完了です。ちなみに後ろ側は、ナットに封印する必要かありますから注意せんといけません。こうしてごくあっさりと手続きも完了して、スターレットディーゼルは晴れて我が車になったでありました。
時計を確認したらまだ10時過ぎでした。天気はすっかり回復して、春の日差しが気持ちいいし、時間はたっぷり余ったしで、この際ちょっとぶらぶらして帰ろうかと思い立ち、松江方面に向けてクルマを走らせました。
そのあと、学生時代に一度だけ行ったことがある日御碕や、いつかは行きたいと思っていた旧JR大社駅、ちょっと興味があった心霊スポットなどを散策しながら、のんびり家に帰りました。こういう旅ができるのも、スターレットディーゼルならではだと思いました。気持ちとクルマの特性が見事にシンクロしているのです。途中で温泉にも寄って、昨夜の疲れを洗い流しました。それでも夕方の4時前には無事に家に到着することができました。時間があったので、いろいろなことがありすぎてすっかり汚れてしまったスターレットを洗車して室内も掃除しました。「無事に走ってくれてありがとう。これからよろしく。」という気持ちを込めて。
(追記)
途中でいろいろとありましたが、まあ順調に、計画通りに長い旅を終えることができました。あの時のワシはまだアラフォーぐらいで若かったので、こんな無謀なことを計画し、実行できたのだと思います。今だったら絶対に無理です。でも楽しかった。何よりも事故もなく無事に帰れたことが何よりもラッキーだったと思います。もう行きませんけど。
東京町田にクルマを買いに 詩川貴彦 @zougekaigan
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