第20話 更なる発覚

 事故後、刑務所に行くまでの間に更なる事が発覚した。又もや、拓哉は浮気をしていたのだ。相手は同じスーパーの事務員だった。私が今でも病院に行ったり拓哉のスーパーに出入りする姿を偶然見かけて不審に思った彼女が私に確認してきたのだ。

「山下店長とは離婚されたんじゃあないんですか?」と。

驚いた私は喫茶店に彼女を誘い話を聞いてみた。彼女の名前は西本美咲といった。

実は私は薄々拓哉と彼女との関係を疑っていた。

女の勘というのだろうか?

拓哉のスーパーは忙しい時は事務員もレジに駆り出されていたのでたまに買い物に行った時レジで見かけていて名前も顔も知っていた。

拓哉が勤め始めた頃は彼女も私が拓哉の妻という事は知っていてお互い「お世話になります」と簡単な会話はしていたからだ。

綺麗な人だなと思っていた。


 それから何年かして拓哉の会社の社員旅行の写真に拓哉の隣で西本さんが写っていたので拓哉に素直に「西本さんって綺麗な人だね」と言った事があるのだが「そうかなぁ、僕のタイプじゃない」と拓哉が行った時、何故かピンときたのだ。が、証拠がある訳ではないので深くは追及しなかった。


 私は彼女から話を聞きショックではあったがやっぱりとも思った。

彼女は拓哉と1年以上前から付き合っているという。

彼女はシングルマザーで5歳の男の子がいるという。

ご主人は一緒に生活している時うつ症状になりご主人の希望で別居していたが3年前に自殺されたという。

遺族年金があり助かっている。子供は拓哉に懐いている。

付き合い始めた時は離婚したと聞いていた。等々、彼女はこんな事まで私に話すのかと思う程全てを私に打ち明けた。

そしてやはりショックを受けていた。

拓哉が刑務所に入る事、離婚していなかった事等。

拓哉はいつも相手の女性にも嘘をついているのだ。

そして1時間以上話をしていて彼女の真剣な気持ちが分かっただけにお互いが本当に愛し合っているなら身を引いても良いとさえ口には出さなかったが心の中で思った。

でも一応は「西本さんも騙されていたのだからこれを機会に別れて下さい。主人は今までにも浮気をした事があるし、もし一緒になっても又、浮気をするかもしれません。今までの拓哉の行動を見ていて西本さんが幸せになるとは思えません。西本さんにはもっと相応しい人がきっと見つかるはずです」と言った。

彼女は「ごめんなさい。私は山下店長から離婚したと聞いて信じていました。

山下店長から奥さんの悪口を聞いていたので山下店長を気の毒に思っていました。

奥さんと話をしてみて店長が言っていた奥さんとは思えません。

とてもいい奥さんなのに何故?と思ってます。離婚してないと分かった以上もう別れます」と言って泣いていた。

拓哉は純真な女性を何人傷つければ気が済むのだろう。

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