第21話 交通刑務所
やがて拓哉が奥島の『交通刑務所』に移された時面会に行かせて欲しいと彼女が言ってきた。彼女は拓哉ともう一度会ってからけじめをつけたかったのだろう。奥島に行くには片道2時間、往復4時間かかるのだ。それでも会いに行こうとした彼女の気持ちが分かったので私は了承した。
私も刑に服している間の一年間月一度は面会に行っていたのでその距離が相当長いと痛感した。奥島の刑務所に着いた時は驚いた。広いグランド、グランドの周りには花壇があり色々な花が植えてあった。一般に目にする施設と変わらない解放された空間がそこにはあった。最初に居た『吉山刑務所』とは程遠かった。『吉山刑務所』は高い塀にぐるりと囲まれていて一目見ただけで周りの風景とのただならぬ違和感があり背筋がゾッとしたのを覚えている。奥島の刑務所には部屋の中にも格子が無く面会にも誰も立ち会わないのでリラックスして話が出来た。こういった場所もあるのだと初めて知った。
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