第19話 裁判
やがて拓哉は退院したが今回の事故で裁判が行われる事になった。私も裁判には同席した。無免許運転での事故でそれまでの度重なる違反もあったので執行猶予なしの懲役一年の実刑判決だった。判決が下されて私は怖くなったがこれ位の処分でないと拓哉は生まれ変われないとも思った。しっかり罪を償って更生して欲しいと願った。
拓哉も相当ショックを受けているようだった。判決結果をもっと甘くみていたようだ。更に相手のトラックの運転手さんや運送会社とも交渉しなければならなかった。幸いトラックの運転手さんは無傷だったがトラックの修理、荷物の保証をしなければならなかった。運送会社の社長は好意的な方でこちらの事情を考慮して下さり月々3万円の返済で話はついた。
一方、拓哉の会社の社長には全てを打ち明けた。するとこれまでの仕事に対する姿勢を評価して下さり帰って来るまで席を空けて待っているとの有難い言葉を頂いた。拓哉の身柄は一旦は広島の『吉山刑務所』に移された。一度義父と一緒に面会に行くと拓哉は丸坊主になっていて私達の顔を見ると人目もはばからず泣きじゃくっていた。私は何故か冷めた目で見ていて涙も出なかった。「ざまあみろ」と心の中で思っていた。
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