流転の時

第8話 妊娠

　結婚後まもなく私は妊娠した。

　急にムカムカして気分が悪くなりひょっとして妊娠かもと思い病院に行くと「おめでとうございます。ご懐妊です。」と言われた。

　子供は欲しかったので嬉しかったがつわりがひどく一人の時間が長い私には非常に辛いものだった。つわり中は何をするのも気持ちが悪く匂いにも敏感になり大好きなご飯の炊ける匂いにもムッとし食欲のない中お腹の子の為と思って頑張って食べてもすぐに戻していた。

信じられないくらいの吐き気を催して滝のような勢いで嘔吐してしまいトイレまで間に合わない事も度々あった。

その後、嘔吐物を片付ける元気もないが結局自分で片付けるしかなかった。

妊娠したらつわりがあるという知識はあったがこんなに辛いものとは思ってもみなかった。殆んど食べれなかったので病院に通って点滴を受けていた時もあったが通院するのもしんどくて途中で行くのも止めてしまった。

　一番傍にいてほしい時に拓哉が傍にいてくれる事は殆んどなかった。