第5話 初めての経験 (2)
次第に拓哉は私の身体も求めるようになった。嬉しい反面私はかなり古い考え方かもしれないけれど結婚するまではダメだと思っていた。拓哉はそんな私の気持ちを察して我慢していてくれたのだと思う。強引には求めてこなかった。
でもそんな私の心の封印を解く日がやって来た。付き合い始めて一年近く経ったある日私は拓哉の家に遊びに来ていた。家族はみんな留守で拓哉と二人っきりだった。他愛ないおしゃべりをしていたけれどなんとなくそんな雰囲気になって拓哉はキスをしてきた。そして拓哉の手が私の胸に伸びてきた。私は抵抗する事無く瞳を閉じて拓哉に身を任せていた。その流れで最後まで拓哉にすべてを任せていった。
後悔は無かった。
拓哉と一つになれた事が嬉しかった。拓哉と私はお互いを求め深めていった。
いつしか二人は卒業したら結婚しようと約束していた。まだ16歳の私は夢見る少女、甘い考えだった。好きな人と結婚したら生涯幸せに過ごせると信じていた。
卒業後、拓哉は地元を離れ大手スーパーに、私は地元の銀行に就職した。拓哉との結婚を夢見てしっかり預金もしていた。社会人になってからは高校時代のように頻繁に会えなかったが拓哉は毎週休みの日には自慢のセリカに乗って私に会いに地元に帰ってきてくれた。只、拓哉の休みは水曜日、私の休みは日曜日と一緒の休みは殆んどなく拓哉の休みの日、私の仕事が終わるのを待っていてくれるのだった。私の仕事が終わってからが二人のデートだった。
就職してから約4年、付き合い始めてからは約6年、長い春を過ごして二人は遂にゴールインした。結婚を機に私は銀行を退職した。
拓哉と私、共に22歳の3月の事だった。
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