素敵な奇跡

樹(いつき)@作品使用時の作者名明記必須

素敵な奇跡

今日も地元のコミュニティラジオを聞きながらの配達。以前はお気に入りのCDを聴いていたが、最近は地震が多くなってラジオを聞くようにしていた。


ラジオでは時報が流れ、ジングルと共に番組名とパーソナリティの名前が読まれた。

「なーんだ、今日はあの人じゃないのか」今日はお気に入りのパーソナリティの日では無かったようだ。


車を走らせ配達先へと到着。見上げるほどの高層ビルだ。

「はぁ〜。こんなとこ、俺もいつか住めるようになりてぇなぁ」なんて淡い夢を抱きつつ、届け先の部屋へ向かう。


「お待たせ致しました。こちらご注文のお品になります」白一色の部屋に日の光がまぶしく、とても綺麗に整頓されている印象。


「どちらに置きましょうか?…あ、こちらですね?」と荷物を降ろすと同時に鈴の音が聞こえてきた。

ふくらはぎに何か触る感触がし、思わず目線を下に向けると猫が足に擦り寄って来ていた。


「うわー、うちの猫と似てる」と思わず声に出してしまった。飼ってる猫と同じで全体が茶色の、白い靴下を履いてるような猫だった。


『ほーら、くつしたダメよー…作業の邪魔になりますよね、ごめんなさい』と言う女性の声に聞き覚えがあった。

そうだ!この声はラジオのお気に入りのパーソナリティの声に間違いない!


注文の品のキャットタワーの組み立てをしつつ、飼い猫が【くつした】と同じ名前だという事やラジオの話もさせてもらった。

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