素人がサウナとかいう拷問施設にガチでハマるまでのととのい実録レポ!

山外大河

序章 ~正直サウナ行く奴って頭おかしくないか?~

 サウブタイトルにも書いたけど、サウナの利用客は頭がおかしいと思う。

 冷静に考えて正気の沙汰じゃない。


 まず僕達は普段毎年一度訪れる真夏のアホ程高い気温に殺されかかっている訳だけど、その気温ですら35度前後。

 対するサウナは90度~100度位らしい。


 三倍だ……三倍……!

 圧倒的苦行……!

 こんな拷問室に進んで入る人間の気がしれない。

 減量中のスポーツ選手以外の人間はなんでこんな所に入っているんだ……!


 そして更に理解できないのはサウナの近くに決まって設置されている水風呂だ。

 此処は対照的に殺意を感じる程に冷たい。

 こんな所に肩まで浸かれば、まず間違いなく風邪を引く。

 いや、本当に足首を試しにいれてみただけで、限界と全身が叫ぶんだ。


 そしてこんな殺人的冷たさの水の中に、サウナとかいう拷問室から出た人々は皆入っていくのだ。


 お、温度差考えろ……死ぬぞ、知らんけど。

 間違いなく体がバグる。

 いや、既にバグってるから、サウナにも水風呂にも入れるのか……とにかく、僕には理解が出来ない。


 そして此処で終わりじゃない。

 極めつけはサウナーが水風呂後に行う外気浴だ。

 まあ春夏秋位なら分からないでもない。


 僕もスーパー銭湯で室内の浴槽に浸かった後、露天風呂へと向かう際に外の風を浴びて気持ちいとは思うから。まあ分からなくもない。


 ただ冬! 外は氷点下!


 この環境で湯舟にも浸からず、ベンチに座っている人々は修行僧か何かなのか!?

 しかも浴槽などに浸かって……100歩譲ってサウナで体が温まっている後なら分かるが、彼らは水風呂を経由して外に出ているんだ。


 冷→冷

 普通凍えるだろ!

 こんも人達は特殊な訓練でも受けているのだろうか。


 ……受けているからサウナや水風呂に耐えられるのか。


 とにかく。

 とにかく僕にとってサウナやその利用客は理解できない意味不明な存在の塊として長年写ってきた訳だ。



 それが2021年冬。

 僕の中で革命が起きる。


 ふとしたきっかけで『ととのい』という未知の単語を知った。

 そしてこれまで理解できなかった苦行の数々が、その『ととのい』とやらに到達する為のプロセスだったという事を。


 ……僕の知的好奇心に火が付き、苦行へと挑む覚悟が決まった瞬間だった。

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