第6話 無くなるが意味すること

××に入る言葉は「寿命」

つまり神は、「この世界から寿命を消す。改めよ」そう説いたのだ。


俺は××に入る言葉を突き止めることが出来た。

寿命が無くなれば、胎児の成長が止まる。しかし、体内に潜むウイルスなどは関係なく体を蝕んでいく。そのため、余命にブレは起きない。


俺はすぐにSNSに「♯神の声の真相」というタグ付けで拡散をした。

「♯神の声の真相

  神の声の正体はこうだ!

  「この世界から寿命を消す。改めよ」

  みんな拡散してくれ!半信半疑の人もいるかも知れないがこれはきっと今後とんでもない影響をもたらす!たのむ!」


SNSに投稿して数秒で数々の返信があった。

「根拠は?」

「なぜいまさら?」

「おまわりさーんこっちでーす」

「なわけww」


誹謗中傷と呼べる言葉が何個も連なり辛い。しかし、拡散できている証拠だと自分を慰めた。それから数時間、数日間と経過していく内にリツイートの数は1万を超え、瞬く間に全世界へ広まった。


遂にはマスコミが俺へ取材をしに来たり、テレビに出演し、なぜそう思ったのかを詳細に取り上げた。俺が語る理由は至極全うで「神の声」が起こって以来変化している異常に全て合致している。それが世間の偽りの目を徐々に変えていった。


1ヶ月。そう1ヶ月で「この世界から寿命を消す。改めよ」が正式な解答だと大半の人間が納得したのだ。




寿命が無くなる。

それはどんなことを意味しているだろう。


例えば、今1歳の幼児は永遠に幼児であり、その母親は常に子育てをしなければならない。寿命が無い。つまり、人間の体の成長も止まる。


例えば、会社に勤めるサラリーマンは退職というゴールを奪い去られ、永遠に働くこととなる。寿命が無い。つまり、今の状態が永遠に続く。


例えば、事件や事故で亡くなった人がいたとしよう。新しい命は産まれない。寿命が無い。つまり、人口は増えない。

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××の無い世界でのお話 紅ピカ @daimatsu

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