転呼者と復讐者 1
「アキラさんを
「……
明良は不覚にも、呆然としていた。
相手が
大師の暴露に、自らの魔名への理解が一挙に覆されたこともあったが、その呆然自失の大きな
(それでは……、動力大師は……? ヒミは……?)
明良は、先ほどのヒミの謀りは、「使役」によるものだと考えていた。「タ行使役」でヒトを操るなど聞いたこともないが、
だが、大師を囲った「氷囚」は、自前の魔名術だった。
「ヒミの語り」は「
と、いうことは――。
「……その通りです」
明良の心中に答えるように、赤毛の大師は
「ギアガンさんも、その一番弟子も……」
大師が平手を振る。
すると、大師の傍に、夜の景色の中にあっても底知れず黒い
ドスン、ドスン、と重みのある音で中庭に落下したそれら。
動きを止めた、それら。
明良が認めた、それらは――。
「
動力の大師と、コ・ヒミの生首であった。
「……外道がぁッ!!」
黒髪の少年は叫び、宙に浮かぶシアラ大師に向けて、大窓から蹴り跳んだ。
「……いえ、
「黙れぇッ!
渾身で剣撃を放とうとした瞬間、明良は自身に迫り来るものの気配を感じ取った。
真下には、いつの間にか、針の山のような光景が――。
(『使役』かッ?!)
樹木の枝や根の先が、暗中に鋭く、無数に
それらが一斉に、明良を突き上げようとでもするかのように、襲い来ていたのだ。
「クッ!
「
「……下ばかりではないですよ? カ行・
詠唱直後、大師の平手から氷の塊が撃たれる。
明良は刻んだばかりの枝を蹴りつけると、
しかし――。
「……カ行・
「……ッ?!」
動力により、明良の身体は「戻されて」いく。
「ぐぁッ?!」
そうして、お互いが引き合うようにして、少年と氷塊とは正面衝突した。
腹部にめりこむ、動力魔名術の
力なく落ちゆく、明良の身体。
それを
「ぅ……ぐぅッ!」
呼吸も、体勢も整えきれないながらに刀を振り、
「……カ行・
「ッ?!」
ひれ伏す明良の身体を、すかさず土石が包み込む。
大師は白い外套衣をはためかせつつ、庭園に降り立った。
「……やはり、動力の『
「『動力』の『大師』ほどの魔名を奪えたのは、まったくの
「磊牢」の土壁に静かに手を添えた大師は、ハッと気づいたようになって、跳び
直後、大師が手を置いた箇所から、
「……『
「……やはり……な……」
土砂に
明良の
だが、その声音の威圧は、むしろ増しているようだった。
「なにが、『
「……貴様の『動力』は、ギアガンにも、ヒミにも、遠く及ばない。貴様の魔名は、少しも
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