第8話 ハッカ油

 ウサ耳パイセンの自宅にて


「見ろ、これがハッカ油だ」

 小瓶を四本の指の間に3本はさめた手をズイと、20点の後輩の目の前に出すウサ耳。


「発火するんすか?」

「しない」

「あ、しない…」

「そしてここに用意した湯船がある、後輩。脱げ。」と20点の後輩に鋭い眼光を向けた。

「えぇ…嫌ですよ。なぜ中学2年生のぴちぴちギャルである私が脱がなきゃいけないんですか」

「ぴちぴちギャルとか鳥山明先生しか今どき使わんだろ。というか言葉選びがおっさんだな」

「面倒ですね、仕方ない。福島先輩呼びましょう」呼び鈴とチンと鳴らす。

すると、勢いよく扉がスライドし「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃーん!私です」

 どこからか現れ、一回転し右手の親指を自らに向け、左手を右腕の関節に置いたポーズをとった福島っ子

「脱げ」とウサ耳

「何故!?」と福島

「脱げ」と後輩

 開いた窓から風が吹き込み、静寂。

 ウサ耳が動くー


「きゃー!」「らすんぬ!」

ウサ耳の両手は、福島と後輩のシャツ、第二ボタンから下までの衣服を裂いた。さながら熊の引っ掻きのようである。


「なぬするんですかー!先輩!」

「そーだ!そーだ!横暴だ!」

2人は口を揃えて批判した。

が、ウサ耳が手の関節を全て鳴らした途端、#659AD2い顔をして静まり返った。


「つべこべ言わずに脱げば、こんな事にはならなかったんだがなぁ?」


「はい…サーセンした」

「私らが悪ぅござんした……」



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