第35話 買取センター
そのあとも同じ要領でおびき寄せ何匹かのサラマンダーを倒した。サラマンダーのステボによるスピードの大幅上昇と、付随して上がっていく【脚力強化】によってサラマンダーのスピードを上回ることができ、討伐の効率化を達成することができた。
結果としては俺が3匹、猪貝が5匹のサラマンダーを倒すことができた。猪貝のほうが倒した数が多いのには理由がある。一つは、俺のほうがステータスの上昇幅が大きいということで能力の差を縮めるということだ。もう一つは、猪貝が倒すことによって正規のアイテム、この場合だったらサラマンダーの牙、サラマンダーのしっぽといったアイテムの回収と売却を行い、お金を得るという目的のもとこういった配分になった。
今回の探索で入手したアイテムをまとめるとこうなる。
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ファイアサラマンダーのステボ × 2
ファイアサラマンダーの牙 × 5
ファイアサラマンダーの皮 × 2
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ファイアサラマンダーのステボとしっぽは確率ドロップである一方で牙は確定ドロップであるためこのような結果となった。牙は武器に使ったり、もしくはアクセサリーに使われたりするらしい。皮はその耐熱性からサラマンダンジョンのような高温高熱のダンジョン用装備の材料として使われるらしく、確率ドロップということも相まっていい値段で売れるらしいから売却するのが楽しみで仕方ない。
「お待ちかねのステボターイム」
「誰も待ってないわよ」
冷静なツッコミ。でも興奮している俺は聞こえなかったことにしておく
そして俺は本日二度目となるステボ炎魔法チャレンジを行った。
「結果発表。じゃじゃん。ステータスオープン」
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ステータス
田中秀明
レベル : 1
HP : 445/445
MP : 225/225
SP : 0
スピード : 680
攻撃力 : 335
防御力 : 335
ラック : 15
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固有スキル
【ドロップ】
所有スキル
【分裂】Lv.100、【ヌルヌル】Lv.7、【風魔法】Lv.2、【岩魔法】Lv.3、【跳躍強化】Lv.1、【脚力強化】Lv.1
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「マジ……、かよ。そんなことってアリ?」
ついには炎魔法どころか、脚力強化すら上がらない始末。
「どんまい。としか言いようがないわね。でもまた頑張ればいいじゃん」
猪貝に肩をポンとたたかれ励まされる。
今日は、もう少しファイアサラマンダーを倒すという選択肢もあったけど、それなりに倒せたしどれくらい稼げるのかを確かめたかったから今日のところはこれくらいでやめておくことにして、ダンジョンを後にした。
◎ ◎ ◎ ◎
買取センターに来ると平日だというのに混んでいた。そのくせ窓口が二つしかないせいで待たざるを得なかった。
「うぉー。これが買取センターかぁ」
「初めてじゃないでしょ?」
「いや、初めてだけど。俺。だってアイテム採取できねーんだもん」
買取センターの受付窓口の奥には大きなモニターがあり画面にはいくつものチャートが表示されている。
「あれは……何?」
「そんなことも知らないの? あれはアイテム価格の推移を示すものよ。アイテムにだって需要と供給があるでしょ? それによって価格が変動するのよ」
よく目を凝らしてみると、それぞれのチャートの上部に小さくアイテム名が書かれており、例えばダンガンラビットの皮は1枚5000円で推移してるのがわかる。
なんてやり取りをしている間に俺たちの番がやってきた。
受付の人にアイテムを渡すと、受付の人は奥のほうに行き鑑定をしている様子が見えた。そして何分かたって鑑定が終わると元居た場所に戻ってきた。
「ファイアサラマンダーの牙が一個当たり2000円で、皮が一枚当たり5万ですね。でダンガンラビットの皮は5000円ですね。合計で14万円になります」
俺たちは渡された書類にサインをしてからお金を受け取る。
「俺たちでこんぐらい稼げるってことはトップランカーの人たちってすごい稼げんだろうな」
帰り際に気になった俺はスマホで検索をし、何も考えず一番上に来る記事を開いた。
――――――――――――
《トップランカーの年収は……?》
気になりますよね?
調べてみました。
驚きの結果が――
―――これ以降は有料です――
―――――――――――
「ふざけんなっ。これくらい無料でいいじゃん」
「な~にケチくさいこと言ってんのよ。お金入ったんだからそれくらいいいじゃない」
もう一度検索しなおして調べたらふつうに出てきて、それなりに稼いでいる人が結構いることがわかった。
最近ではテレビタレントとしてダンジョン以外で稼いでいる探索者や、Dスポーツという新たなスポーツの賞金で稼いでいる人もいるらしい。
新たな知識も手に入ったし、ステータスには載っていないが俺の賢さが10くらい上がった気がした。
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