第34話 再挑戦⑨
「久々の使用になるな。使えないって前は言ってたけど、要は使う側の問題なんだよなスキルも人も。【分身】ッ」
すると、ボンっと音が鳴り、俺の体の周りを白い煙が覆ったかと思うと、俺の前に分身が生み出される。そして分身した俺と本体の俺の動きは完全にリンクしているから、本体と同じように動いてくれる。
「分身したおかげで体1個分の距離を埋めることができた。これなら――、届くはず」
本体の俺が短剣を振り下ろすそぶりをすると、目の前に存在する俺の分身も同じように振り下ろした。俺本体の短剣は空を切ったが、分身の俺の短剣は見事にサラマンダーの背中に突き刺さる。
「ギェ。ギェェェ」
本日2回目の断末魔の叫びを聞く。
何回聞いても嫌なものだが、何回か潜っていくうちになれるものなのだろうか?
なんて考えているうちに、サラマンダーは絶命しいつものようにサラマンダーの体が光り始める。
「今度はステボドロップしてくれよ~。お願いします。神様」
ぱちんと顔の前で両手を合わせ願い事のポーズをとる。
今回は俺のそんな願いが通じたのか、今までのように例の黒い球がドロップした。
「うっし。これで、念願の炎魔法が手に入る……かもしれない」
なんてことをやっていると、後ろから猪貝が走って追いかけてくるのがわかった。追いかけるのに気を取られすぎてていたのを忘れていた。
「だぁから。早いってぇ。私、【脚力強化】使っても全然追いつけなかったんだけど」
呼吸があらく、遠くからでもぜぇぜぇ言っているのが聞こえてくる。
「ごめん、ごめん。こっちも必死だったんだ。でも、ほらこれ見てよ」
先ほど採取したステボを前に出して猪貝に見せる。
「じゃぁーん。ステボゲットできましたー」
「はぁ、はぁ。ちょっとタンマ」
とりあえず、本当に辛そうなので猪貝の呼吸が落ち着くのを待ってからステボを消費することにした。
「じゃぁ、いつものように消費といきますか」
「なんか、うれしそうじゃない?」
「そりゃそうでしょ。だって炎魔法だよ? 手からこうぶわっと炎とか出たらかっこいいじゃん。炎魔法は……」
俺が興奮して炎魔法の魅力を語ろうとすると、長くなると思われたのか途中で遮られてしまった。
「はいはい。わかったから。早く消費してみてよ。第一、入手できるのが炎魔法と決まったわけじゃないんでしょ? 決めつけると後で後悔するかもしれないわ」
「なんでそんな水を差すようなこと言うんだよ。しかも、なんか炎魔法じゃない気がしてきたんだけど――」
まぁ、グダグダやっても仕方がないのでステボを消費する。
《ステータスボールの消費を確認。ステータスが追加されます。ご確認ください》
「ステータスオープン」
―――――――――――――――――――――――
ステータス
田中秀明
レベル : 1
HP : 365/365
MP : 175/175
SP : 0
スピード : 480
攻撃力 : 315
防御力 : 315
ラック : 13
―――――――――――――――――――――――
――――――――――――
固有スキル
【ドロップ】
所有スキル
【分裂】Lv.100、【ヌルヌル】Lv.7、【風魔法】Lv.2、【岩魔法】Lv.3、【跳躍強化】Lv.1、【脚力強化】Lv.1
――――――――――――
「だーからいったじゃん。そういうこと言ってるとこういうことになるってぇ」
「ダメだったらもう一度倒してステボを手に入れればいいじゃない。今度は脚力強化もあるし、スピードも上がったんだから余裕でしょ?」
俺は心の中で確かにそうだけどさぁと思いながら、ステータスの増減からファイアサラマンダーのステータスを導き出しメモを取る。
――――――――――――
ファイアサラマンダー
HP :40/40
MP : 40/40
SP : 0
スピード : 100
攻撃力 : 10
防御力 : 10
ラック : 1
―――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます