第21話 岩魔法

 一階層と二階層には多分に漏れずスライムが生息している。前探索したときになぜスライムはこんな厳しい環境下でも生息しているのだろうかと思ったが、やっと謎が解けた。スライムの体を構成する謎の液体が治癒能力、美肌効果、遮熱性なんでもござれの万能すぎて基本どこでも生きられるようになっているらしい。だから実はスライムが最強なんじゃないかとさえ思うようになった。

 しかもスライムの凄いところはどんなものでも食べることができるということ。ただ、スライムたちはグルメだから自分の気に入ったものしか食べないけど。

 勾玉ダンジョンのやつは草を食っていたけども、サラマンダンジョンに生息してるやつは、鉱石や果てにはマグマを食べるやつまでいる。

 そして食事によって、スライムたちは姿が変わる。例えばサラマンダンジョンにいるスライムは、全身が岩でおおわれた姿になっている。


「そー言えばこいつらふつうのスライムとは姿が変わっているけど、ステボの効果は変わってくるのかしら?」

「いや、それはないんじゃないかな。だって昔ここでスライムを倒して、ステボを手に入れて使ったけども、ステータスの上昇値は一緒だったから」

 おれは前のパーティを追放される直前にもここでスライムを倒していた。で、その時手に入れたステボは一番初めに消費したものであり、その時のステータス上昇幅は勾玉ダンジョン産のスライムのステボと全く同じだった。だから、場所や姿によって差異はないだろうというのが俺の導きだした答えになる。ただ、データ数が1つだけというのは結論を導くにはサンプル数が少ないのからこの結論が正しいとは断定できないが。


「ふうん。そうなのね。姿とか性質によって違うんだったらさ、例えばスライムに何か面白そうなアイテムとか材料とかを与えてから倒すでしょ。で、ステボにしてから吸収するとかしたら、面白そうだなって思ったの」

「いや、それはだいぶ面白い、というかできたら革命級の発明になるぞ」

 

 例えばだ、マホガラスの羽をスライムが食うかどうかは置いておいてスライムに食わせるとする。もしかしたら羽の生えた空飛ぶスライムが生まれるかもしれない。そしたら空飛ぶスライムを倒してステボにしてから吸収すればあら不思議、俺にも翼が生えるなんてことが起きうるかもしれない。

 ただ、自分に翼が生えることを想像すると、気持ちが悪いので実行しようとは思えないけども。


「悩むより試してみろ、でしょ。やってみようよ~」

 ワクワクしながら俺に実行に移すよう促す猪貝。


「確かにそうだな。倒すだけだしいっちょやってみますか。ちょうど目の前にまぬけそうな岩スライムがいるし」

 

 俺は岩に体が覆われたスライムを便宜的に岩スライムと呼んでいる。

 そしてその岩スライムは俺のことを敵として認知していないのか、無防備にも俺の周りをゆったりと通り過ぎていく。


 【ドロップ】が使えるようになるまでにはこいつには苦労したものだ。というのも、体が岩におおわれているせいで核が見つからないからだ。そのため岩スライムを倒すにはまず岩をはがさなくちゃいけなくて時間がかかってしまったのだ。


 でも今はステータスが上がりまくったおかげで、岩ごと粉砕して倒せるようになった。なんて楽なのだろうか。

 

 こんな調子で岩スライムを5匹倒した。所要時間は30分程度。本当はもっと倒したかったが今日はなぜかスライムの数が少なかったから少ししか倒すことができなかった。


「どうなるのかしら。すこしドキドキしてきちゃったわ」

 そして早く早く、という風に俺を急かしてくる


 俺はとりあえずいつもと同じようにステボの消費を行った。


《ステータスボールの消費を確認》


「ステータスオープンっと」

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ステータス


田中秀明

レベル    : 1

HP     : 295/295 

MP     : 110/110

SP     : 0

スピード   : 275

攻撃力    : 275

防御力    : 275

ラック    : 12


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固有スキル

【ドロップ】

所有スキル

【分裂】Lv.100、【ヌルヌル】Lv.7、【風魔法】Lv.2、【岩魔法】Lv.1

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