第18話 特訓

 猪貝と解散したのちに、家に帰宅し回収したステボの消費を行った。ステボの消費にも慣れたもので今では楽々行えるようになった。


 布団に寝っ転がり天井を眺めながら

「ステータスオープン」

と小声で言葉を発した。もちろん怖い隣人を怒らせないために、だ。


―――――――――――――――――――――――

ステータス


田中秀明

レベル    : 1

HP     : 190/190 

MP     : 110/110

SP     : 0

スピード   : 170

攻撃力    : 170

防御力    : 170

ラック    : 12


―――――――――――――――――――――――


――――――――――――

固有スキル

【ドロップ】

所有スキル

【分裂】Lv.100、【ヌルヌル】Lv.3、【風魔法】Lv.2

――――――――――――


「うん。なかなか見栄えもよくなってきたしいいんじゃないか」

 ステボを使えるようになる前には何もなく寂しかったスキルの欄もヌルヌルとか気持ちの悪い文字列を除けばそれらしくなってきた気がする。

「これだけステータスも上がったし……、もうちょっと上のダンジョンに挑戦してみるか?」

 今の俺のステータスはレベル20相当ぐらいで、ダンジョンで言えばEランクダンジョンに潜ることができるようになったくらいだ。だから、この案はそれなりに現実性がある。ただこの案には一つだけ懸念事項がある。

 それは新しくパーティを組んだ猪貝の存在だ。ダンジョンに一人で潜る分には失敗しようが怪我しようがすべて自己責任で済む。ただしパーティを組んだわけだ。別に一人で潜っても罰則があるわけではないが、パーティを組んだら一人では潜らないというのが暗黙の了解だから、一人で潜るのはなんとなく気が進まない。

「たしか、猪貝はレベルが今日で2になったっていってたっけ?」

 俺は猪貝が言っていたことを思い出しながらレベル2だときっついなぁという結論に達していた。

 

 でも、センスはあるはずなんだよな。だって初めて教えたスライムの倒し方も一発で覚えていたし、とてつもなく小さな核を持ったスライムの時も寸分たがわず短剣をぶっ刺してたから。多分ステータスが上がればかなりの戦力になるのは間違いないはずだ。


 そうだっ。今週は猪貝強化週間と称して、俺がぎりぎりまでマホガラスを弱らせて最後の攻撃を猪貝にさせることでレベルを上げることにしよう。目標レベルは10だ。これはEランクダンジョンに入るときに最低はあった方がいいと言われているランクだ(もちろん達してなくてもダンジョンに入ることはできる)。

 先に進みたい気持ちもあるけれど、未来への先行投資と考えれば我慢できる。


 俺はこのように猪貝強化計画を立てた後、パソコンに向かってマホガラスのステータスデータを打ち込み、ファイル名にはモンスター図鑑と名付けて電源を落とす。


――――――――――――


マホガラス

HP     : 20/20

MP     : 50/50

SP     : 0

スピード   : 10

攻撃力    : 10

防御力    : 10

ラック    : 1


――――――――――――


「そうだっ。忘れるところだった。猪貝に俺の計画を伝えておかないとな」


 某通信アプリで、俺の計画を伝え、毎朝勾玉ダンジョンに集合することにしたのだった。


 翌朝から、一週間ほど俺たちの特訓が始まった。これは大学生の特権で基本的に時間が余っているから平日から繰り出すことができるのだ。

 基本的に俺はスライムを倒し、猪貝がマホガラスにとどめを刺す。それだけを時間の許す限り繰り返した。


 猛特訓の結果どうなったのかというと、猪貝はレベル9まで上がった。目標レベルの10まで到達はできなかったけれども、一週間という短い期間で上げられたという事実はほめてもいいんじゃないかと思える。

 一方の俺はスライムだけを倒していたので、ヌルヌルが微妙に強化されたのと、100匹程度倒していたのでなかなかステータスが上がり以下のようになった。


―――――――――――――――――――――――

ステータス


田中秀明

レベル    : 1

HP     : 290/290 

MP     : 110/110

SP     : 0

スピード   : 270

攻撃力    : 270

防御力    : 270

ラック    : 12


―――――――――――――――――――――――


――――――――――――

固有スキル

【ドロップ】

所有スキル

【分裂】Lv.100、【ヌルヌル】Lv.7、【風魔法】Lv.2

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