ステータス上げ編
第6話 ステータス
「うっわ。えっ?なんで?」
俺はステータスが上がったということに喜びよりもむしろ困惑の感情のほうが先に出てきた。
今までステータスなんて全然上がらなかったのに…。この黒い球に何か秘密があるのか? そして俺のスキル【ドロップ】の影響なのか?
どーせ、この黒い球はたくさんあるんだ。もう一個使ってみて、変化したところを比較してみるとするか。
黒い球の山から一つ手に取り、胸に押し当てる。すると先ほど同様にスッと俺の体の中へと入っていく。
《ステータスボールの消費を確認。ステータスが追加されます。ご確認ください》
「ステータスオープン」
―――――――――――――――――――――――
ステータス
田中秀明
レベル : 1
HP : 12/12
MP : 10/10
SP : 0
スピード : 12
攻撃力 : 12
防御力 : 12
ラック : 10
―――――――――――――――――――――――
――――――――――――
固有スキル
【ドロップ】
所有スキル
【分裂】Lv.2
――――――――――――
「えぇっと、さっきまでのステータスの違いはこうか?」
俺は要らないチラシの裏に汚い字でメモを取る。
――――――――
HP +1
スピード +1
攻撃力 +1
防御力 +1
【分裂】 +1Lv
わかっていること
・黒い球の名前はステータスボール
・ステータスボールを胸にあてることで消費でき、ステータスが上がる。
・おそらく上昇したのは、スライムのステータス分(おそらくと言ったのはスライムのステータスは明らかになっていないから)
・だとしたら、うまく使うことで全てのモンスターのステータスがわかるようになる?
―――――――――
「こりゃ、すごいスキルかもしれないっ」
「とりあえず、この大量のステータスボールを消費するかぁ」
俺は黒い球を延々と胸に当て続けた。
そして、システムはわざわざステータスボールを消費するたびに同じ文言でアナウンスしてくれた。そのせいで、大量の黒い球を消費しきるのにかなりの時間がかかった。
で、残り十個くらいになって衝撃の告白。
《同時に沢山のステータスボールが消費できますがいかがなさいますか?》
はぃぃぃぃ?
「おいっ。その機能早く言ってくれればこんなに時間かかったじゃねぇか」
「いや、システムに文句言っても仕方がねぇか」
《いや私、ある程度のコミュニケーションは取れますよ》
いやそれも早く教えてくれよ。
タイミングが独特なのよ。そういうことは早く言ってよ。もっと早く教えてくれたらいろいろと円滑にできたのにさぁ。
でも、こうやって責めたら
《すいません…》
なんてしゅんとして、しかも素直に謝られちゃったから俺のほうも
「おっ、おう。こっちも無理言ってごめんな」
って思わず謝っちゃった。
とりあえず、こんなあほなことしながら夜ぶっ通しでステータスボールを消費してたらステータスはこうなった。
―――――――――――――――――――――――
ステータス
田中秀明
レベル : 1
HP : 110/110
MP : 10/10
SP : 0
スピード : 110
攻撃力 : 110
防御力 : 110
ラック : 10
―――――――――――――――――――――――
――――――――――――
固有スキル
【ドロップ】
所有スキル
【分裂】Lv.100
――――――――――――
終わった後に【分裂】スキルがどんな効果だか知りたいから教えてよ、ってシスさん(システム)に聞いたら
《私は知りません、【解析】スキルか【知恵】スキルならわかるかもしれません》
「だったら、仕方がないな。まずは習うより慣れろっていうもんな。とりあえず細かいことは考えないで使ってみればいんだよな。使ってみれば」
カーテンを開けると、朝日が差し込む。俺はあまりのまぶしさに思わず目を閉じた。
「うっわ、まっぶしいな。気づけばもう朝じゃん」
「だったら行くしかねぇよな、ダンジョンに」
とりあえず、俺は装備(といっても短剣と胸当てと靴だけ)を整えてから最寄りのダンジョンである勾玉ダンジョンへと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます