かみひとえのはざまで
金曜日
心残り
数多の命が始まりと終わりを繰り返してきた。
肉の塊に自我が芽生え、また肉の塊に返っていく。
ただそれだけ。
ただそれだけのことなのに。
意識の外では数えきれない命が生まれ消えている。
そこに感動も悲しみもない。
ところが、それが視界に入り手が届く場所に来た途端感動が芽生え、悲しみに心を枯らす。
人の死は肉体が朽ちる事、人から認識されなくなる事。
じゃあ、急死は死であり、生きる事でもあるのか。
心残り。
死に行く人に最後の挨拶ができる人間などどれほどいるのだろうか。
みじかなにんげんが明日死ぬなど毎日覚悟しながら生きている人間がどれほどいるだろうか。
心残りは記憶に生き続ける事。
心残りは楔に鎖になって心を掴んで離さない。
人は忘れる。人は受け入れる。縛りつづけられない。
いつか悲しみは薄くなる。
悲しみが消えることは悪いことじゃない。
まえが向けない。進めないことも悪いことじゃない。
どうしても人は前を向くし、歩き続ける。
心残りは後悔であり、次の一歩への大事な石畳だ。
自分の死も人を悲しませ、大切な人の前進するための道となるのだ。
心残り。
忘れない事。忘れられない事。忘れてはいけないこと。
こころのこり
人は馴れる。ずっと想い続ける必要はないが、
永遠じゃない命を想い、
気持ちを伝える事忘れてはいけない。
かみひとえのはざまで 金曜日 @kinyoubi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。かみひとえのはざまでの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます