第37話四人目の妻
最後の晩餐が終わった後は、まさに飢えた獣達に喰い散らかされる子羊のような惨状であった。誰が始まりのゴングを鳴らしたのかは今となっては分からないが、俺が食事を終えた瞬間にマキナも含む八人の美少女達に性的に貪られた。
肉体スペックだけならSSR級。強靭な肉体と精力を備えた俺であっても、相手はそれと同等かそれ以上の美少女達に食べられたら体力は持たなかった。
凄いね、支援魔法……枯れ木同然に絞られても魔法があれば一瞬で回復するんだから……。
だが、持たなくなった体力を魔法で無理やり回復さられては続行し、精力が尽き果てても回復をさせられる淫獄と呼ぶに相応しい状況。八人の美少女達に求められるのは嬉しい反面、全く手心なく貪欲に求められるのは脳が快楽で何度焼き切れそうになったことか。
結局は全員を満足させるまで、八時間はぶっ続けで美少女達を抱き続けて、肉体的には絶好調であるのに精神は限界まで摩耗し、まるで幽鬼のように這這の体で杯盤狼藉の行われた宴会場から逃げ出した。
「あぁ……生き返る。本当に生き返る……というか、この世界的な異常事態が起こって初めて生命の危機を感じたぞ……」
そして俺は魂の摩耗を癒す為に湯治をしていた。旅館の温泉の中で身も心も心機一転する為に肩までゆっくり浸かり、空が白み始めて夜の帳が解ける光景を窓越しに眺めて一息を吐く。
「肉体に馴染むまでは子を為す確率は低いって言われたけど、本当に大丈夫なんだろうか……拠点づくりも始まったばかりで世界情勢も不安定なのに……」
エチケットとしてのゴムすらなく情を交わすのは僅かに心配であった。拠点も盤石で美少女達の軍団が完成したのならば、子供を為したいとは思っていたが、まだまだ情勢的にも懸念を残っているのに酒池肉林に耽るのは危険である。
俺は手で湯をすくったあとに顔に浴びせ。
「よし、自重すべきだな……最低限のゴムは絶対にすべきだ」
こういう危機的な状況であるからこそ種を残すという本能が強く刺激される気持ちも分かるが、それでも自分達だけの命ではないのだから平和な時に子供を為したい。五年後には地球の支配権を巡って神々が争う事態になることを考えれば、尚更に気を付けなければならない。
それに増え続ける美少女達の全員の相手をしていたら、いくら肉体が頑健であろうと精神が死ぬ危険があるし、子孫がとんでもない数になるので自重は絶対である。これで産まれた子にも俺と同じような美少女召喚師の力を持っていたら、世界は間違いなく俺の子たちに支配されることになる。
――子供の数だけ美少女が倍々で召喚される未来を想像して俺の背筋が震える。
「主様の懸念は理解出来ます。やはり私達は自制を効かせるべきだした」
「リティア……なんでお前はナチュラルに男湯に入ってくるんだ……」
「機会があったならば主様との時間を独占したかったので」
金糸のような長髪を後頭部に纏めたリティアが温泉に入ってくる。まさにテンプレートエルフのような金髪緑瞳の長耳のスレンダー体型。森で暮らす彼女に相応しい引き締まった肉体は健康的な美を発露させ、流し目でこちらを見つめている。
「私には主様と契りを交わした者たちのような個性がないと思うのです。フェラブル様のように突出した武力も、カナリア様のように万物の創造の技も、マキナ様のような諜報能力もなく。このままでは毎日のように増える美少女達に埋もれてしまうのではないかと……」
「まぁ、それは確かに不安に感じるよな……俺もこれから毎日増える美少女達を考えると関係性の構築に悩むことは目に見えてるし」
一か月で三十人も美少女が増えれば、必然的に婚約をしたフェラブル達以外との関わりが減っていくだろう。俺の身体は一つしかない以上は、どう足掻いても全員とのコミュニケーションをする時間には限りが出来てしまう。
そしてそれを懸念するのはリティアとしては当然のことなので――
「ですから私は考えたのです。これから美少女がもっと増えるのであれば、ライバルの少ない今こそが主様の特別になりご寵愛を受ける地位を狙える――――唯一の機会などではないかと」
「待て、待ってくれ……俺はせっかく身を清めたばかりで……ちょっ、ま――――んっ」
――エルフの狩人であるリティアは決してチャンスを見逃さない。他の美少女達が宴会場で幸せな夢を見ている邪魔の入らない絶好の状況、そして二人きりになれる空間となればすかさず唇を奪ったあとに妖しい笑みを浮かべ。
「主様の四人目の妻の地位は『一矢百殺のリティア』が頂きます」
文字通りにエルフなのに肉食系なリティアに頂かれた俺は、温泉から上がり全員が目覚めた後には正式に四人目の妻としての地位をリティアは見事に狙い撃ち落とすのだった。
俺は美少女召喚師!全人類がありふれた職業が天啓として与えられた中で、俺の職業がめちゃくちゃ頭おかしい件! @kokorotokokoro
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