凡人の孤独
小橋
第1話 私という人間
つらいときは自分の息遣いも嫌になる。
どうして人間は一人で生きられないのだろう。
十八年生きてきたがいまだに孤独をともにすることはできない。
私の高校の同級生が大学に進学したときに言っていた。
孤独を語るうえで他人の話を持ち出すのも不思議な話だが。
ともかく彼は一緒に飯を食べるものがいないと、そう嘆いていた。
友達が欲しいと。
私は彼に言った。
「誰かとご飯が食べたいだけだろう、孤独が嫌いなだけだ。」
彼にとってはともに飯を食べるのが友達なのだろうか。
もちろんそういったことではないだろうが私は彼の言葉にひどく嫌悪感を覚えた。
自分も一人が嫌にも関わらずだ。
どうして他人をそう攻められたのだろう。
私が思うに今のこの憂鬱と孤独は彼のものとは少し違うのだろう。
彼は孤独を満たしてくれるのならばきっと誰でもいいのだ。
彼にとっては一人でいることこそが耐えられないことなのだ。
最も私は彼のことを嫌いではないし一人で飯を食べる寂しさも分かっているつもりだ。
ただ私の孤独とは少し種類が違う、そんな気がしたのだ。
思えば私は強欲だった。
小さいころから私は兄が叱られている姿をよく見ていた私はそんな兄を心の中で馬鹿にしていたのだ。
皮肉なことに私は(運動はともかく)勉強ならば比較的できていたのだ。
私はよく両親に褒められていた。
そんな両親を見てきたものだから私の中で驕りともいえる一種の勘違いが起こった。
私は他の人間よりも優れているのではないかと、この考えが過ちであることは私の大学受験、いや、もっと前から気づくことができた。
しかしこれは考えの過ちに気づいただけなのである。
今更染みついた本性は洗い落とすことはできない。
私にとってはこの驕りこそがおそらくこれから永遠に(皮肉なことだが)苦楽を共にするカルマとなるだろう。
私の行動原理は他人に求められることだろう。
いや、少し語弊がある。
あえて私を汚く言うならば、他人に褒められ優越感に浸りたかった。
もちろん自分のことを綺麗に綴ることもできなくはないが私はこの文章を通して私のことを深く知ってほしいのだ。
しいて望むならこの文を読んでいる貴方が私のこの汚れた部分を認め、受け入れてくれることだろうか。
話を本筋に戻すと、ともかく私は認められたかった。
しかし、ここでも私の本性は牙をむいた。
私はとあるところで文字を綴っていた。
もちろんそれもインターネットの中ではあるのだがまたそれは機会があるときにしたいと思う。
始めはただ読まれたくて書いていた。
だが読まれ始めると私は(いや、人間がか?)だんだん大きな存在に認められたくなったのだ。
私は才能のある人間が好きだ。
才あるものにその文を読まれたかった。
それが己の糧になると思っているからだ。
しかし所詮私は天才の名にしがみついているただの凡人なのだ。
私が彼ら、彼女らに並び立とうなど驕りでしかない。
使い古された逸話を引用するならば私の翼はロウでできているのだ。
まがい物で飛ぶことはできない。
私はそれが我慢ならない。
それこそが私の驕りだというのに。
私はこの驕りを殺すことはできるのだろうか、友になることはどうだ。
凡人の孤独 小橋 @ritoruburijji
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