ゲームシナリオ習作

なんでもかんでもエヴォリューション

ドウリィ

「よぅ、俺だドウリィだ」

ポウリィ

「やぁ、あたしよ、ポウリィよ」

ドウリィ

「それじゃあ、始めようか」

ポウリィ

「準備はできてるわ」

ドウリィ

「ドウリィと！」

ポウリィ

「ポウリィの！」

ドウリィ&ポウリィ

「「なんでもかんでもエヴォリューション！！」」

ドウリィ

「さぁて、今日、進化させるのはこいつだ！」

ポウリィ

「これはケトルね、何に使う道具なのかしら？」

ドウリィ

「水を入れて火にかける、するとお湯が沸くって寸法さ」

ポウリィ

「おヘソに乗せてお茶を沸かすヤツね！」

ドウリィ

「ザッツライ！　HAHAHA、ヘソで茶を沸かせるよう進化ってのも面白いけど、それじゃあ二番煎じだ」

ポウリィ

「出涸らしになっちゃいそうね」

ドウリィ

「そこで今回はコレを使う」

ポウリィ

「ワォ、それはホイッスルね！」

ドウリィ

「そう、こいつをケトルの注ぎ口に取り付ければ、お湯が沸いた時の蒸気でピーっと鳴るってわけさ！」

ポウリィ

「考えた人は賢いわね！」

ドウリィ

「1920年代のアメリカで生まれたらしいぜ」

ポウリィ

「そんなことより、今日の進化について教えて？」

ドウリィ

「OK、このホイッスル、ピーと鳴るだけなんて、味気ないと思わないかい、ポウリィ？」

ポウリィ

「そうね、せめて音楽ぐらい奏でてほしいわね、ドウリィ？」

ドウリィ

「チッチッチ、その程度で進化と呼べるかな？」

ポウリィ

「呼べないわよね！　もっと大胆にエヴォリューションしなきゃね！」

ドウリィ

「そうとも！　だから、このホイッスルに自我を与えてみようと思う」

ポウリィ

「自我の目覚めね！　まさにエヴォリューション！」

ドウリィ

「よぉし、じゃあいくぜ！」

ポウリィ

「待って、待ってドウリィ」

ドウリィ

「なんだいポウリィ、ここからがイイところだってのに、どうしたんだい？」

ポウリィ

「ホイッスルに自我があったら、蒸気で熱がって悲鳴を上げるんじゃないかしら？　嫌よ？　お湯が沸く度に断末魔なんてうるさいもの」

ドウリィ

「オーゥ、その意見はもっともだ。どうしたらいいと思う？」

ポウリィ

「問題点は悲鳴を心地良く感じる人が少ないってこと！　ここは発想の転換のしどころね」

ドウリィ

「それじゃあ、こんなのはどうだい？　悲鳴で陰鬱な気持ちになるのが嫌なら？」

ポウリィ

「楽しくなれる声！　つまり笑い声にすればいいわけね！」

ドウリィ

「グッド！　それでいこう！　このホイッスルは自我を持ち、熱さで面白おかしくなっちまう、そんな存在に進化する！」

ポウリィ

「レッツ、エヴォリューション！」

ドウリィ

「ドウリィと！」

ポウリィ

「ポウリィの！」

ドウリィ&ポウリィ

「「なんでもかんでもエヴォリューション！！」」

ドウリィ

「これでこの笛付き薬缶は今から世にも珍しいただひとつだけの笑う薬缶さ！」

ポウリィ

「さっそく火にかけてみましょう！」

ドウリィ&ポウリィ

「「…………」」

ポウリィ

「ねぇ、ドウリィ」

ドウリィ

「なんだいポウリィ？」

ポウリィ

「お湯ってどのぐらいで沸くのかしら、あたしケトルをじっと見てるだけなんて飽きてきたわ」

ドウリィ

「奇遇だねぇポウリィ、俺もウンザリしてたところだよ！」

ポウリィ

「待ってる間に小粋なトークでもしてくれない？」

ドウリィ

「OK！　こいつは俺が聞いたことがある話の中で、一等イカレた話さ」

ポウリィ

「あたし、イカレた話大好き！」

ドウリィ

「ある教会の牧師が花壇に花を植えたんだ」

ポウリィ

「花壇に花を？　何の花かしら」

ドウリィ

「そいつが傑作でね！　教会の――」

笑う薬缶

「ブフッ、ブハハ、グワァーハッッハッハ！　ゲラゲラゲラ、ヒィー！　ヒィー！」

ドウリィ

「うるせぇ！」

ポウリィ

「あーもう、お湯が入ってるんだから蹴っ飛ばしたら危ないじゃない」

ドウリィ

「ポウリィ、ごめんよ、こんなにうるさいと思わなかったんだ」

ポウリィ

「確かに気持ち悪い笑い方だったわね、生理的に無理だわ」

ドウリィ

「ってことは今回は？」

ポウリィ

「エヴォリューション失敗！」

ドウリィ

「と、いうわけで、第59回なんでもかんでもエヴォリューションの笑う薬缶は、どっかの誰かにプレゼントだ！」

ポウリィ

「今から1時間以内に、欲しいタグを付けて投稿してくれた人の中から抽選で1名様にプレゼントよん」

ドウリィ

「それじゃあ今日は失礼するぜ！」

ポウリィ

「次回のエヴォリューションにも乞うご期待！」

ドウリィ

「シーユーレイター！」

ポウリィ

「まったねー！」