第13話 結婚





俺の卒業と同時に雑誌に五十嵐拓成

の結婚報道がでた。


目はカットしてあるがやはり

舞香だった。

僅かな期待が木っ端微塵にぶっ

飛んだ。あの一時の気の迷いが人生

を狂わせてしまった。


あんなに大事にしていた彼女を悲し

ませ泣かせた罰は、辛い後悔として

降り掛かってきた。


海外の会社を希望して外国へ行く。

日本には、居たくない!

何もかも、初めからやりなおしたい。



出来る事ならあの高校入学式に

帰って舞香に入学式の挨拶を

させてやる。


俺の大好きな舞香が俺の隣で笑い

転げていたあの幸せな時間に

戻りたい。

溢れ落ちた舞香の愛情は両手に

一滴も残らなかった。




それから5年がすぎた。

5年ぶりに日本に帰ってきた。


直樹とデパートのまえで

待ち合わせる。

昔と変わらないがやはり

大人になっていた。

茶髪な髪は落ち着いたブラウンで

中々モテそうだ。


俺ら2人は裕一を待つためデパート

のカフェに入り積もり積もった話に

花を咲かせていた。


「待てーっ‼優里香、友梨奈」

母親らしき彼女が2人の子供を追い

回している。しかもお腹は7ヶ月くらい。


その後に旦那らしき人物が追い掛け

ている。


なんとも騒がしい家族だ。


「あんたがー甘いからーこうなんの

よ。」


2人の娘は5歳と3歳位だった。

クルリとした人なっつこい目には

見覚えがあった。


捕獲された娘は、旦那の喉仏を

やたらと見上げながら

頬を擦り付け猫のように

さわりまくっている。


旦那も平気な顔をして慣れてる様子。


「パパァ、チョコパイ食べたい。」

「友梨奈は、アイスが食べちゃい。」


「だめだめだめ、お昼残したでしょ

う。逃げ出した罰です‼」


「なぁ、いいじゃないか?カフェ

あるし‼ な‼な ‼」


「だからァ甘いつつつーの‼」


見るからに鬼嫁丸出しで

旦那は奥さんの言いなりで、

笑えた。


2人の娘を愛おしそうに抱き抱え

ながら、旦那さんはドスドス歩く

奥さんの後をしょんぼりと付いて行く。



裕一がやってきた。


「おい、あの家族連れって...」


「あ、ああ、舞香だな。」


俺が言うと、直樹が


「気づいていたのか?」


と驚いていた。



ふんわり流した髪にグリーンの

マタニティー

くるりとした目は綺麗になった

舞香だ。昔と変わらぬ姿を呼び

起こす。



「綺麗になったな、舞香の奴

俺が狙っとけばよかったよ。」


裕一が呟くと


「俺もそうおもった。」と直樹も

頷いた。


「1番 後悔してるのは、俺だよ。


あのまま浮気さえしなければ

項垂れて娘を抱き舞香の後をついて

行ったのは..俺だったな‼」




2人は苦笑いをしていた。



「ああ、間違いなくお前だったよ。」


しかし数秒間ではあったが俺に

気が付き、銀縁眼鏡の奥の目が俺を

捉え睨み付け


フッと笑った。



鬼と呼ばれる五十嵐拓成

家族と入れば猫みたいに変わる。

あんな拓成を誰が

海外企業も恐れる大会社の社長

と思うだろうか。


俺たちは肩を叩き合い夜の街へと

新たな出会いを求めて歩きだした。


あの拓成が相手なら

直ぐ捻り潰されてしまう。


「手出し、して見ろ!」

アイツの目は俺にそう呟いた。




舞香のポーチに変身したハンカチを

拓成が見つけ聞いた。


「これ..は?」


「えへへ御守りだよ。」

私をずっと守ってくれてた。

拓成‼

貴方だったのね。」


結婚式の時この拓成の紋を見た時

驚いたよ。

オレンジ色の花の紋

拓成の花は、百日草なのね。


「花言葉調べたの

注意を怠るな!

もっとあったけど当主には

ピッタリとおもうよ。」



拓成はフフッと笑いながら

「そうだな」

と呟いた。



「なんで言わなかったの?」


「んー何でかな?」


「そう言えば、目付きの悪さとか

ふてぶてしい態度とかそのまんまだ

ね。」


「舞香は良く泣いてたな。

いじめっ子を、近寄らせないように

大変だったんだぞ。‼」


「あーだからかぁ。

顔見ただけで、逃げ出す子

いたもん。」


ふふふふ、「ありがとう拓成。

あの日のタンポポはずっと心に咲いているよ。」


お前が俺を恋しがる気持が

俺の愛にまけたんだよ。

小さい頃からずっと愛してる。



君が気づくのを、俺はずっと

待っていた気がするよ。



拓成は今日もパパ、パパと呼ばれ

デレデレ

可愛い娘に、愛する妻

家庭を守るために仕事には

手を抜かない!


社員の家庭を大事にさせる

不倫浮気には厳しい罰則がある。


不倫は解雇、厳しい契約書に

書き記してある。

誰もが恐れる大企業の社長は

家族思いの愛妻家、それだけに

社員の家族に尊敬され

拓成の会社は益々大きくなる。

会社の中には各部署には、拓成の

紋のオレンジの百日草では

無く、オレンジ色のタンポポの

絵が飾られている。




🐞 おしまい🐝⋆゜






読んでくださってありがとう

ございます。

また、読んで貰えるように

頑張ります。😊👋゛

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🍊オレンジ色のROMANCE ルミン @rumiko35211

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