花びんをわったのはだれ?

 ゆうくん


 ぼくが教室に入ったときには、花びんはわれていました。だから、だれがわったのかは分かりません。そのとき、教室にはだれもいませんでした。今日は、たまたま早く学校に来ました。だれよりも早かったので、教室に一番のりしたのは、ぼくでした。きっと、きのうから、われていたのだと思います。


 それに、けんくんがわったという、あっくんの言っていることは、まちがいだと思います。だって、あっくんは、うそつきです。前だって、かぜを引いたって言っていたのに、けんくんといっしょに遊んでいるところを、見ました。


   ○   ○   ○


 あっくん


 花びんをわったのは、けんくんです。きのう、みんなが帰ったあとに、ぼくとけんくんだけが、教室にのこっていました。すると、けんくんは、ぼくにむかって「うそつき」と言いました。ぼくは、くやしくて、けんくんを追いかけてしまいました。


 教室のなかを、ぐるぐると回って、追いかけました。すると、けんくんは、よろけてしまって、先生の机のうえの花びんに、ランドセルがあたりました。ぱりんと花びんがくだける音がしたあとは、ふたりだまったまま、かたまってしまいました。


   〇   〇   〇


 けんくん


 あっくんは、花びんをわったあとに、泣いてしまいました。わったところは、見ていません。けがをしてしまったのかなと思って、心ぱいしました。でも、自分でわったのだから、ぼくは悪くないです。


 あっくんは、ぼくが「うそつき」と言ったとか、ぼくを追いかけたとか、うそを言っていて、むかつきます。ぼくは、正直ですから、花びんをわったら、ちゃんと先生に言います。あっくんは、ぜったいに、言いません。うそをついて、だれかのせいにします。


 だから、あっくんが、花びんをわったのは、まちがいないです。でも、どういう風にわったのかは、知りません。ぼくが教室にいないときに、わったんだと思います。


   〇   〇   〇


 これは、あとから聞いたことなのですが、花びんをわったのは、ゆうくんでも、あっくんでも、けんくんでも、なかったのです。


 ゆうくんと、あっくんと、けんくんの友達が、わったのだそうです。つまり、その友達を、それぞれ、かばっていたわけです。でも、だれを犯人にすればいいか、分からなかったのでしょうね。


 それでは、かんがえてみてください。あなたは、どういう気もちで、ゆうくんと、あっくんと、けんくんのお話を聞いていたでしょうか。ここに書いてみてください。


   ――――――――――――




   ――――――――――――


 もし、なにも書かなかったら、点数を引いてしまいます。ちゃんと書いてくださいね。でも、なにを書いたとしても、点数は増えません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ただしさのないせかい 紫鳥コウ @Smilitary

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ