地雷タグをあえて検索する読者なら、コレ

 地雷要素とは辛みや苦味のようなもので、慣れれば美味になるものだと思う。
 TS、チート、神様転生、残酷な描写、性的な描写、同性愛(?)、Vtuber、そして話数と比例する世界観のスケールアップ。間話のIfストーリーに突如生える新設定。
 除外検索の常連からニューカマーまでしっかり地雷を揃えたスパイシーで愉快な小説がコレだ。もうタイトルからして書籍化に伴い変更される系で、たまらなく匂い立っている。
 こんなにスパイスを入れると腕前によっては刺激を通り越して腐敗臭がするものだが、きちんと味わえるように調理する文章力があり、しかも山場でエタ(ーな)ることなく書き切っている。この時点で賞賛に値する。

 私が特に素晴らしいと思ったのは、設定とキャラクターの扱いの巧さだ。こういう増築を繰り返していくような作品は、途中で無軌道さや不必要な部分が露呈して、キャラクターと設定が忘れられることが多い。しかしコレにはそれがなく、設定開示も段階的だから、唐突さがあんまりない(まあ増築感はあるけれど)。

 とりあえず、地雷要素をスパイシーと言える程度に舌が慣れていて、文章力という美味しさを求めているなら、とりあえず齧ってみて損は無い。
 作品としての巧拙よりも小説としての面白みを求める身としては、これは星3に値する小説だった。作者に感謝。