それでも車輪は転がり続ける②
ぐるっと正門側から校舎を囲うように移動して、3年棟の裏まで来た。
俺は自転車を探し始めた。もう多くの生徒が帰宅したのか、まばらに置かれた自転車たち。その中のピンク色、と言うよりはマゼンタに近い色の自転車を目指す。ピンクって言うとライダーに怒られる。
マゼンタ自転車にたどり着き鍵を差し込む。
ガガッザク。
「また入り悪くなってんな、ついでにエアダスターも買ってこよ」
ぶつぶつ言いながら、スタンドを上げて自転車にまたがる。
「何やってんの?他人の自転車パクってんの?」
「おう、
「俺の自転車のパンクを直せなかったお前が?」
「やめろあれは
「あの後自転車屋に持ってくの恥ずかしかったんだからな?」
「それは悪かったって。あのとき
俺の古傷をえぐって楽しんでいる。自分の嫌な思い出のはずなのに表情は笑っている彼。
彼は家の事情で高1のときにバスケ部を去った
「まぁいいや、俺も一緒に行くよ」
「は?行っても買うもん買ってすぐ帰ってくるぞ?待たせてる人いるし」
俺が
「なぁ、遥香の様子どうだ?」
校門を出てすぐ冬磨が口を開く。
「別に、いつもと変わりねーよ」
俺は平然と答えた。
「そうか」
さっきも言ったが、この2人は1年の時に
冬磨はずっとそれを気にして、俺の顔を見る度に遥香の様子をこっそり聞いてくるようになったのだ。
ほらな、めちゃくちゃ良い奴だろ?ムカつくぐらい良い奴だ。だからいつも俺は
「今は他に好きな人ができたらしくて、あの頃の恋する乙女に戻ったぞ」
「そっか」
どこか遠い目をする冬磨。自分を好きだと言っていた子が他の人を好きになったと聞いて少し落ち込んでるのだろうか。カワイイところもあるなと俺は
「他に好きな人ができたなら俺は安心できるよ。俺が振った後のあいつは抜け
「ふーん。ひとの古傷をえぐってくるお前でも
「はー?お前。俺を何だと思ってる?」
「何だろうな、
「ダメだな、わかってない」
はぁとため息混じりで返す冬磨。俺をバカにするのは彼なりの照れ隠しだと俺は知っている。もーツンデレー。かーわーいーいー。
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