第2クォーター
それでも車輪は転がり続ける①
「じゃぁな
「おう、
翌日の火曜日、放課後。親友の
放課後に予定がないなんて寂しいやつだと思うかもしれないが、俺は先週までクラスでは少数派の部活組だった。いや、今も万部があるので変わりはない。
なので、放課後は声をかけるのをためらわれる
ちなみに俺のクラスはちょっと
そして俺は機械科のクラス。例年では女子が2,3人入ってくるが、俺の代は0人だった。悲しすぎる。入学当時は覚悟していたものの、クラスのメンバーを見回してがっかりした記憶がある。
クラスの紹介もそこそこに俺は部室に到着した。お
俺は鍵を開けて中へ入り、自分の定位置である奥の席に腰掛ける。
やることもないので、リュックを下ろしてぼーっとすることにした。
「そうそう
「そっかぁ」
「うん。“優勝するから”ぐらいかっこいいこと言えないのかね」
「そだね。それは断って正解」
何やらつかみきれない会話をしながら
「あ、タク、ヤッホー!」
遥香が元気よく挨拶をしてくる。ヤッホーって言うほどの距離でもねぇよ。あとうるさい。
「ねぇ、聞いてよタク。うちのクラスの三浦って奴がね。“最後の大会で入賞したら付き合ってくれ”って。あり得なくない?」
怒涛の勢い。みす○学苑ですか?遥香はさっき清佳に言ったことを今度は俺に投げかけた。
「まぁ、そうだな。せめて“ベスト3”とか」
「だよねー。女の落とし方も知らないくせに私に告白してくんなっての」
俺が言い終わらないうちに遥香は吐き捨てる。なんでもズバズバ言って、嫌いなものはとことん嫌う。
清佳はそんな俺たちを静かに見守っている。いつのまにかお湯も沸かしてくれている。しれっと1人でチョコチップクッキーを食べてたのはちゃっかりしてるなと思うが、俺たちもそれに
しばらくそうして雑談をしていると、万部に初めての
名前は
そんな彼女の依頼はパンクした自転車を直して欲しいというものだった。
「パンク修理かぁ。
清佳は当然という風に言った。以前清佳の自転車のパンク修理をした実績があるからだろう。
「できるけど、道具も何も無い」
俺がそう言うと、依頼主の沙木空音は残念そうに目を
「いいよ。買って来る」
任せろと強がって言ってみた。女の子を泣かせるなってお
「ほんとですか!ありがとうございます〜」
沙木がそう言って笑ったのでちょっと強がって良かったなと思う。
「清佳、自転車貸して」
「ん、良いよ」
清佳が放り投げた自転車の鍵をキャッチして、俺は買い出しに向かった。
「あ、バケツに水入れて用意しといて」
そう言いながら部室を出ると、はーいと清佳が返事をした。
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