その放課後は今までと少し違って⑤
その日の夜。夕飯もお風呂も
一息ついたところで
しばらくぼーっと
「まじかよ」
まさかかかってくるとは思わなかった電話に思わず声が
『あ、出た』
『ねぇ、驚いた?』
「そりゃ驚いたよ。急に電話って」
『そっち!?』
「え?」
なにそれ以外になんかあったっけ。俺が
『いやーそれもだけど。ほら、万部のこと!』
ビシッと俺を指さして言った。鬼ただだ!いや、実際にはさしてない。ただそうしてるだろうなと思った。
「今俺のこと指さした?」
『おー。なんでわかった?』
「琴羽姉ならやってそうだなって思って。」
琴羽姉が驚いている。きっと目をまん丸にしてるだろう。
「んで、なんで電話?」
俺は出る前から気になってたことを聞いてみた。
あぁそれねと琴羽姉は落ち着いて答える。
『君の声が聞きたかったからだよ後輩君』
ほう、なかなか
「なんかあった?頭ぶつけた?」
俺は
『
「なんだよそれ」
馬鹿にするように俺が笑うと、とにかくと琴羽姉が続ける。
『君が生きてることを確かめたかったの』
色んな意味で捉えられる
「
普段ははぐらかしてはっきりとしたこと言わないのに。
『いや別に、冗談とかじゃなくて。新たな道を
これ
「俺はそんなに偉くないよ。ただ、
俺は
『言い過ぎだよ、後輩くん?あんまり褒めちぎるといざという時響かないぞー』
「本音ですよ」
『あ・り・が・と』
最後にハートが付いてそうな言い方で琴の羽が俺の耳をくすぐる。背中にゾクゾクっとする感覚が流れ、少々息が乱れた。
「うん、本当に、尊敬してる。俺の方こそあ」
『ダー。もうそれ以上聞きたくありませーん』
マジな話はやめようと俺の言葉を
「わかった。もうおしまい。でも最後に一つだけ。」
んと頷いて、受話器の向こうの琴羽姉は俺の言葉を待つように
「やっぱり最高の先輩だよ。生まれて来てくれてありがと」
『もー!そういうのやめろって言ってるでしょ!』
テレレン。
プツッと音が
それっきり返ってこなくて、気づいたら俺は寝ていた。
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