放課後は楽しむべきだ⑤

「あ、ちょっと待った」

さっきまでと違う低い声が俺の足を止めた。なんか真剣な話が始まる。俺は察してスッと振り向き「なんですか」と柴原を見上げた。

「ちょっと頼みがあってな。明日の放課後、英語科に来てくれ」

「英語科に来い」これはバスケ部にとっては死の宣告。俺は一瞬ピクッと固まったが今は万部だったと胸をで下ろす。

「わかりました」

俺はできるだけ丁寧に返事をした。

 柴原が「行ってよし」と言って手をしっしと動かしたので、俺はステージによっと飛び上がってそでに消えた。


 俺が部室に戻ると

「キヨ、セブ研の準備って明日からだっけ?」

「うん、そだよ。だからいつまでも教室でだべってないですぐ来るんだよ」

そんな話し声が聞こえた。

 セブ研。正しくはセブ研修。フィリピンのセブ島にある葛高の姉妹校に行って異文化交流ができる研修だ。

 確かそんな感じ。俺にはよくわからん。

「明日から俺1人か、寂しいな」

俺は2人の会話に冗談混じりの言葉で割り込んだ。

「「え?」」

 すると2人が驚く。目をまんまるにしてる清佳は可愛い。当たり前だ。向かいで首を傾げる遥香も可愛い。当然だ。

 でもなんで?

「何言ってんのタク。タクはいつもひとりぼっちじゃん」

「ん?」

「ごめん、拓偉。気を遣えなかった私たちが悪い」

「え、なに。俺、いじめられてる?」

俺はしょんぼりした。さすがに今のは傷つくよ。いくら俺でも。

「そんなに寂しがるな、ちょくちょく顔出すからな」

清佳が慌ててなぐさめてくれた。そんなに気を使わなくたって良いぞ。なぜなら

「良いよ、2人がいない間は沙木に助っ人として入ってもらう」

ちょっとカッコつけて言ってみた。本気じゃ無いけど。

「「キモ!」」

ですよね〜。予想通りの返しだ。うむ、正常正常。

 よし!この調子で明日からも頑張ろ。

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