放課後は楽しむべきだ④
あれから30分、俺は清佳と遥香に散々邪魔されながらようやく報告書を書き終えた。こんなの本当だったら10分で書けたんだからね。どうして邪魔するの?俺の怒られる姿がそんなに見たいのか。この薄情者たちめ。俺のことそんなに嫌いですか?
きっと話が長引くなるだろうと思いながら体育館に向かう。あの人俺をいじるの好きだからな。
俺は沈む心でトボトボ歩いて、重い鉄の扉を開け、体育館に入って行った。中に入るとバスケ部はステージ側の半分
俺は一度体育館を出てステージ袖に回り、そのままステージへあがる。その縁からだらーんと足を出してドルフィンを咥えている男性に例のブツを差し出した。
「お待たせしました。例のブツです」
男は微動だにしない。振り向く素振りも見せない。
「あの、報告書持ってきたんすけど」
返事がない。ただの屍のようだ。出たよ無視。これ始まると長いんだよな。
どうしたもんかと短いため息をつきつつ俺は少し考えてから、ドスンとわざと音をたててステージから飛び降りる。柴原が一瞬こっちを見た気がした。絶対気付いてるじゃんこの人。性格悪りぃ。
俺は柴原の正面に回り、報告書の下を持って立てる。それをピシッと柴原の顔の前に出してやった。
柴原は「なんだよ、見えねぇよ」と俺の手をどかし、視線をこちらに向ける。
「おぉ、なんだいたのか」
わざとらしく驚く柴原。「なんの用だ」という目で俺を見下ろす。なんかムカつくな。地に足ついたら俺と身長かわらなないチビのくせに。
「あなたが無視するからですよ。報告書書いてきました」
「遅ぇよ。何分かかってんだよ」
「いやいやいやいやいや、清佳と遥香が邪魔してくるから」
「言い訳するな。可愛い子達がかまってくれてるんだからありがたいと思え」
「それあいつらの前で言ったらセクハラで訴えられますよ」
「あん?なんか言ったか?」
冷酷な目線が俺に刺さる。いや事実だから。マジだから。今の子そういうのは敏感だから。俺はなんでもハラスメント化するのは好きじゃない。ハラスメントハラスメント、略してハラハラ反対派だ。何してもハラスメントにされてしまう恐怖で常にハラハラしてしまう。柴原スメントは例外とする。
俺はとりあえず「いえ、なにも」と答えて、部室に戻ろうとした。
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