体育館履きに隠れて②
「俺が悪いんですけど、あんな
鶴島は全て話終わるとそう締めくくった。
「やりすぎか」
俺は周りに聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。
「そっかぁ。本当に好きだったんだね。」
清佳が優しく包み込むように、
遥香は逆に
「うん。お前が悪い。沙木もそんなことしてるのは許せないけど、自分でも言ってる通りやりすぎだよそれは」
きつい口調だが、的を
「ただ、」
鶴島はすがるように続ける。
「俺は、あいつのやってる事をやめさせたかった。小学生の時からずっと一緒で、その時はまだそんなんじゃなかったんです。でもある日を
鶴島は泣き崩れた。きっと1人で背負ってたんだろう。どうして良いかわからないで悩んでたんだろう。あの時「あんたには関係ない」って言ったのも、迷惑をかけたくないとどこかで思ってたのかもしれない。純情な奴だ。青春してんなぁ!
「それで?これからどうしたい?」
半分答えはわかっていた。馬鹿みたいに真っ直ぐな思いのこいつの気持ちが俺には少しわかる。
「やっぱり、なんとかしたいです。それとやっぱりあいつの隣にいたい」
ここまで彼女を思ってるなら今更引くわけがない。
俺は思っていた通りの答えに思わず口角を上げた。
「よし、わかった。俺たちが手伝うよ」
それを聞いて鶴島はほっとしたようだった。涙をTシャツでを拭って立ち上がると、「ありがとうございます」と頭を下げた。
そして体育館前の水道で顔をジャバジャバ洗ってから駆け足で練習に戻っていった。
そのあと清佳と遥香にある事を頼んで、俺は生徒会室に向かった。
「がしまー」
昨日と同様ノック無用で容赦なく入っていくと
「あ?」
鋭い眼光で睨まれた。
昨日より人数の多い生徒会室には俺と中学が一緒だった
「おー、洋真。元気か?」
俺が気軽に声をかけると
「あ?うぜぇ。気安く話しかけんなクソチビ」
洋真はそう吐き捨てて立ち去った。すれ違いざまに肩を思いっきりぶつけられて俺は少しよろめいた。
「ちょ、ヒロー!」
何かの手続きをしていたようだが、それをほっぽり出して行ってしまった洋真に須野は引き止めるように言ったが時既に遅し、彼女は
「ごめんね色ちゃん。またアイツが」
「いいって、いつもの事だし。須野は悪くない」
毎度毎度のやり取りでもう慣れたものだ。
見てわかるように洋真は俺を嫌ってる。理由はおそらく清佳の件だろう。清佳が洋真を振った次の日に俺と付き合い始めたのが気に食わなかったのか、別れた今でも俺を見る度に機嫌を悪くする。 須野はそんな洋真のが不安でいつも一緒にいると聞いた。
「うん。ありがと。じゃぁ私、これやったらすぐ行くから」
明るい声と表情で言う須野だが、無理してるのがよくわかる。中学の時は仲が良かった俺たちがこんなにギスギスしているのを見て須野は悲しいのだろう。
「わかった」
俺は静かに頷いて彼女が書き終わるのを見守った。
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