そしてゆっくりと歩き出す⑤
1-cは普通科のクラスなので基本的に
正門から見たときに両脇の奥側に位置する
と勝手に
この通りは職員室と生徒指導室があり、物静かだ。生徒指導の
そんな静かな雰囲気によく似合った人物が向こう側から歩いてくるのがわかった。我が校一の人気を
彼女の名は雪女。美しい切れ長の目で人々を凍りつかせる。現に俺も凍りついていた。
「ねぇ、色井?今雪女って思ったでしょ」
背筋の凍るような冷たい声音が俺の鼓膜を刺激する。
「いや、思ってないよ」
彼女に声をかけられて、慌てて否定した。なんだエスパーか?『ジャスミンはエスパーである物体に触れることでその記憶を読むことができるのだ』こいつはジャスミンじゃねーし、触れてもねぇよ。脳内で再生された声を振り払う。
ふーんと
「美波由依は雪女だって
「俺じゃねーよ。そもそも雪女って最初に言い出したのは秋斗だろ」
「そう、じゃぁ雪女って思ったことは認めるのね」
それは違うだろと心の中で突っ込んで、口には出さなかった。言ってしまうと言い返されて面倒くさいことになるからここらで止めておく。
「それより体育館履き見なかったか?」
俺はバスケの試合中並みの切り替えの速さで話題を変えた。必殺!不自然な流れ!が決まったぜ。バスケはそれくらい
案の定美波は、は?なにこいつ動物?みたいな顔をしている。人は動物だから間違ってはいないけど。
「なぜ急に体育館履きなのかしら?かわいそうにクラスメイトに捨てられたりでもしたの?それとも燃やされた?」
「燃やすってどんな
美波の雑な挑発を上手いこと受け流して、もう一度質問をした。
「見つからないなら諦めることね。一応私も見かけたら連絡はしてあげようとは思うけど」
「わかったよ。知らないなら最初からそう言え。別にもとから期待してないし。
すると美波は上から目線で俺を
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