先生、好きでした

17

受験勉強が始まった。

志望校合格に向けて本格的に勉強だ。


そんな矢先、祖父が入院し私は母とお見舞いに出向いた。

少し痴呆の気がある祖父は何度も看護師さんに同じ事を言う。しかも文句ばかりだ。


「ほら、杉浦さん、お孫さんがいらっしゃいましたよ」


「なんだ、真帆か。もう帰るから荷物持ってくれ」


「何言ってるの、おじいちゃん。まだ帰れないよ」


「わしはもう治ったから帰る」


「はーい、杉浦さーん、検温しますねー」


祖父の態度に私はムカムカとしたのに、看護師さんは全然怒らないし祖父の話をちゃんと聞きながらもてきぱきとした仕事をこなしていく。


「ねえ、お母さんも看護師じゃん。おじいちゃんみたいな患者さんに優しくできる?」


「そうねえ、病気や怪我をすると誰だって不安になるものよ。それをサポートしてあげるのがお母さんたち看護師の役目かな」


「ふーん」


大変そうだけど、正直かっこいいと思った。漠然と進もうと決めた看護師の道だったけれど、この瞬間に自分の進むべき目標が見えた気がした。

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