第10話 ○○君の自殺
実習最終日の食堂は学生グループと女子事務員のグループで静かに過ごしていた。そこにタタタタッと一人の女子事務員が駆け下りてきて、泣きながら叫んだ
「○○君が自殺したって、今この病院に向かっていると連絡が入ってきた」
「えっー」と、どよめきが起こる、学生グループも静まり返る。
「ここ数日、休んでいたよね」と誰かが言った。一人が祥子のところにやってきて
「○○君、知っているでしょう」と聞いた「知りません」と答えると
「知っているはず」と苦々しそうに立ち尽くす。その彼女を見覚えのある人がなだめて席に戻らせた、しかし座っている場所でも「知っているくせに」と呟いていた。
(私がこの病院で知っている人は、ミーヤキャット君だけ、彼は自殺などしない、だって
「生きていてくれて、良かったー」と言ってくれた人だから)
見覚えのある女性事務員は、高校の時のバスケット部の森口先輩だが、彼女は祥子からの視線を背けるので、会話どころか会釈すら交わさなかったのだ。
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