第358話 猛烈な悲鳴
シズが突然、その姿を空中に晒すと、彼女はこれまでに聞いたことのないような猛烈な悲鳴を上げた。
📶『どうしたシズ、大丈夫か?、返事しろ!」
空中を見つめる俺を心配して、甲板上に玲子君も出て来た。
すると、驚愕の表情を見せる玲子君、彼女がこれほどに驚くという事は、相当な事が起こっているのだろう。
「玲子君、これは何が起こっているんだ?」
「詳しくは解りませんが、これはシズが危険です、、、、その後方にいるタイムマシーン、、、、あれはマーシャンのマシン、、、そうですよね、マーシャン」
すると、マーシャンは少し黙り、何故か笑みを浮かべながらスッと消えた。
「やはり、あのタイムマシーンはマーシャンの、、、どうしてシズがこれだけ苦しんでいるのに、彼のマシーンは平気なのかしら、、、、」
たしかにそうだ。
シズは最新式と言えども、同年代のタイムマシーンのはず。
同じ現象が起きてもおかしくはない。
「、、、、、どうした、玲子君、、、玲子君?」
玲子君の表情が、驚愕の表情から、怒りの表情へと変化しているのがはっきると見えた。
マーシャンと言い、玲子君と言い、一体、どうしたと言うのだ。
ゼンガやカシラビも、一体何が起こったか解らず、唖然としていた。
「桜子、どうしたそんな所で、、、斎藤君か?、戻って来れたのか?、そんな所にいたら危ない、さあ、艦内へ」
北村少佐がそう言い終わる前だった。
一瞬、何かが近付く音が聞こえたと思いきや、14潜のすぐ近くに何かが着弾し、もの凄い高さの水柱が立った。
「うわ、なんだ、どっこからだ?」
「駆逐艦ヘイウッド・L・エドワーズとリチャード・P・リアリー、、、?、違います、新手の駆逐艦です!」
戦闘指揮所で警戒員が叫ぶ、駆逐艦ベニオンと並走していた駆逐艦ヘイウッド・L・エドワーズとリチャード・P・リアリーではなく、違う駆逐艦がどうやら迫っていた。
「艦長、潜行出来ないんですか?」
「厳しいな、再浮上出来ない可能性の方が高い」
どうする?、、、
「玲子君、もう一度、シズの力で俺たちを敵駆逐艦へ飛ばせないか?」
「、、多分、無理だと思います、、、シズがどうやら気を失っているようなんです」
なんだって?、シズが?、だって彼女はまだ飛んでいるではないか?
「そういう仕組みなんです、彼女は無意識でも、オートクルーズ機能が自動で働く仕組みになっていますので」
「ならば、あのマーシャンのタイムマシーンAIに頼めないのか?」
すると、玲子君の表情が、再び曇り出した。
どうしたんだ玲子君、、、、何か言いにくい事でもあるのか?
「恐らく、シズが気を失ったのは、近くで巨大な電磁パルスが発生したためだと思われます」
電磁パルス?、こんな時代の、こんな場所でか?、、、あ、そう言うことか、ソビエト高速艇に積んであった核物質が、沈没して時間が経って海水に触れて、反射物質となって起爆した、、、ということか?
「そうですね、そう考えると合点が行きます、この近海で核分裂反応が起こる可能性は、それが一番自然です、14潜の原爆は、、、、ここにまだありますから」
、、、、しかし、それではやはり、おかしいではないか?、何でシズだけが被害を受ける?、そして、マーシャンのタイムマシーンだけがどうして再び消えたんだ?
「雄介様、その件で、大事なお話しがあります、、」
なんだ?、どうしたんだ玲子君?、いつもの君らしくない、、、それほどの秘密があると言うのか?
※ 津軽沖海戦時のシズ設定資料 ↓
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます