第357話 撃 沈

『15潜、こちらは14潜艦長、山本だ、貴艦の損耗状況を、発光信号で送れ」


 危機一髪のところを救ったのは、伊号第15潜水艦であった。

 しかし、戦いはまだまだ途上にあり、山本提督としては、15潜がどこまで戦える状況であるかを正確に知る必要があった。


 そして、駆逐艦ベニオンに対する攻撃も同時に行われた。

 魚雷により損傷したベニオンは、ジワジワと浸水を始めたが、まだ沈没に至っていなかった。

 逃げ惑う水兵がいる中、主砲の砲手たちは未だ14潜と15潜に対し砲撃を加えていた。

 3隻による砲撃戦になるも、駆逐艦の砲撃はやはり命中精度が高く、14潜、15潜ともに至近弾を受けてしまった。


「15潜に伝達、潜行し、退避、ベニオンは本艦が止めを刺す」


 実はこの時、14潜が受けた至近弾は傷が深く、潜行が危険な状況に陥っていた。

 一度、点検をしなければならない状況であはあるが、それをしている余裕がない。

 山本艦長は、潜水艦の優位性でもある潜行が出来るうちに、15潜だけでも水中待機させるべきと考えた。

 15潜もそれが理解出来たようで、急速潜行を開始した。

 少なくとも、ベニオンは対潜戦が出来ないほどに傷ついている。


「マーベリック・デイモンド、降伏しろ、もはやお前を守る水兵はいないぞ」


 俺とマーシャンは、15潜の魚雷攻撃を機に、そのまま艦橋を制圧した。

 しかし、マーベリック艦長は、しぶとく抵抗してくる。


「いい加減にしろ、お前がエムディであることは、もうバレているぞ、ウガヤクラントの恨みは果たさせてもらう」


 すると、マーベリック艦長は、少し怪訝な顔をした。


「お前ら、一体何を言っている、大体、エムディとはなんだ、ウガヤクラントとは何のことだ、このジャップめ」


 こいつ、未だしらばっくれるつもりか?。

 俺は艦長席の頭上に機関銃で一斉射する、すると、マーベリック艦長は、すっかり縮こまってしまった。


「GF、ここはあなたが手を下す必要はありません、、、、適任者が外にいますから」


 そう言い、窓の方向を見ると、巨人化したゼンガが、鬼の形相で艦橋を睨んでいた。

 、、、たしかにそうだな、マーベリック艦長にとどめを刺す役は、ゼンガがすべきだろう。

 俺たちは、両足の動かないマーベリック艦長を艦橋から引きずり出し、ゼンガのいる方に向かって差し出した。


「ヒィィィ、なんだこれは、巨人?、さっきまで、人間だったではないか、一体、、、、うわ、うわーー!」


 ゼンガがマーベリック艦長を鷲掴みにすると、怯える艦長を少し眺めた後、ゆっくりと握りつぶした。


「ユウスケ、これで息子の仇を討つことが出来た、感謝するぞ」


 レモンの絞りカスのようになったマーベリック艦長を、ゼンガは思いっきり海へ向け投げ捨てた。

 一連の行動を見ていた駆逐艦ベニオンの乗組員たちは、一斉に下艦すべく、カッターに向かって押し寄せた。


「副長、総員退艦命令をお出しなさい、この艦は間もなく沈む」


 俺がそう言った後、駆逐艦ベニオンは急速に傾き、沈み出した。


📶『シズ、もういいだろう、俺たちを14潜へ戻してくれ!」


 こうして俺たちとベニオンの戦いは終わった。

 そして、長かった軍使エムディとの闘いも。

 、、、、これで、オル達の仇は討てた、、、、。


📶『ではGF、行きますよ!」


 シズによって、巨人化されたゼンガを一旦戻して、俺たちは再び14潜に復帰した。

 、、、、したのだが、、、。


📶『キャーーーー!!!」


 一瞬、何かとてつもなく大きな衝撃のような何かが俺たち、いや、辺り一面を襲った。

 俺は、てっきりベニオンが爆沈したものかと思ったが、それは違った。


「、、、、シズ?、シズか?」


 驚いた、シズが光学迷彩を解除し、UFOのようなその船体を空中に晒しているではないか。


「シズ、おい、シズ、大丈夫か?、何があった?」


 そして、シズの後方には何故か、シズによく似たもう一隻のUFOが存在していた。


 一体、何が起こったんだ?。

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