第64話 若い男女が同じ、、、

 祝勝会後半は、ムスキさんの妖精談義が勝手に盛り上がり、延々と妖精学を聞かされた。

 彼女が言うには、妖精の存在は証明されていないが、信じている一定の層がいるらしく、彼女もそれを追跡する一人なんだとか。

 本当は色々聞きたかったが、、、、玲子君の冷ややかな視線に、俺が耐えられそうもなかったので、一歩引いて俺はひたすら飲んだ。

 とりあえず、酒も入ってしまったことから、賞金の取り分の話は、明日の朝食の時にでも、ということになり、それぞれ宿に帰ることになった。

 

「俺たちも、宿に行くか。」


 俺は、酔った勢いもあり、いつもの「私」という言葉ではなく、自身を俺と言っていた。

 もっとも、心を覗かれているなら、今更ではあったが、この日の酒はとてもうまく感じたし、玲子君やマキュウェル達と飲む宴会は楽しかった。

 苦学生だったから、合コンも希だったし、元々飲酒の習慣は無かった。

 日本の宴会と違って屋外の宴席に西洋風料理は案外豪華だったし。

 しかし、そんな気持ちよく酔った状況が、一気に引くような状況がそこにはあった。

 マキュウェル達が、一体何を気遣ったのか、俺たちの為に同じ宿屋で取ってくれた部屋が、、、ダブルの一部屋だったのだ。


「まあ、雄介様、これって、、、」


「ああ、そうだな、これは、、、あれだ、横須賀基地を思い出すな」


「まさか、またソファーに寝るなんて言いませんよね」


「、、、、、」


『あー、ずるい美鈴、GFとダブルなんて!」


「おいおい、シズは嫉妬とかしないんじゃなかったか?」


『あれは冗談ですー、普通に嫉妬くらいしますよー」


 どこまで冗談だか解らないけど、本当にこのシズというAIは、女子高生と話をしているみたいだな。

 、、、玲子君は、、、今回は、下向いちゃってるな。


「あの、、、私、、、脱ぎます」


「いや、脱ぐなよ!、どうした?」


 え、彼女って、もしかして、酒飲むとこんな感じになるタイプ?。

 今夜は、さすがの俺も、彼女の魅力に勝てるかわからんぞ!


『G-Fー、いけないんだー、若い男女が同じベッドで、なんて!いやらしい!」


「おい、なに知らんぷりしてるんだよシズ、こんな酔った女性に手を出すわけないだろ」


『でもGFは、今、朝まで耐えられるか、って感じのこと、考えてましたよね」


 ああ、もう、お見通しかよ。


「ああ、そうだよ、その通り、でも、俺たちの時代の男ってのはな、流儀ってもんがあるんだ、酔った女性には手をださん」


『まあ、、、GF、やっぱり男らしいですわ、、、私にも肉体があったらって、今日は少し切ない気持ちになります」


 、、、もしかしたら、シズが一番女性らしいのかもしれないな。

 

「シズ、俺がもし、彼女に何かするようなら、俺に電撃でも喰らわせて過ちを正してくれ」


『もう、私は虎柄ビキニの宇宙人ではありませんよ、大丈夫です、GFの脳波は安定しています。」


 そんなやりとりをしている間に、俺はすっかり睡魔に襲われていた。

 まあ、俺がこの状況なら、過ちは起こらないだろうしな。

 そして俺は、玲子君が洗面している間にベッドに入って寝てしまうのであった。



※ 私服姿のシズです ↓

https://kakuyomu.jp/users/wasoo/news/16817330668192113485

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る