第65話 恋人認定?

「おはようございます、雄介様」


 いきなり朝だった。

 そして、例外なく玲子君は、、、裸だった。

 、、、だから、脱ぐなよ。


「おい、二人で寝る時には服を着る約束だろ」


「問題ありません、今回は、雄介様は軍服を着たままですので。それと、私、やっぱり服を着たままだと眠れないのです、」


 今回の玲子君は、もしかしたら確信犯ではないか?

 ちょっと前回の天然っぽさがなく、どこか俺を見る目がしっとりと潤んでいるしな。

一応、毛布で体を繰るんで隠してはいるものの、恥ずかしいとは思っていないだろ。


『GF、美鈴はいま、、」


「まてまて、全部言うな、これからの道中が気まずくなるだろ」


『いいなー、美鈴は。」


 朝から二人のテンションは凄いな。

 そして、部屋を出て食堂に行こうとしたとき、マキュウェル達3人とばったり会った。


「どう?ゆっくり寝られた」


「ああ、酒も久々だったしな、、、なんだよ?」


 三人は、俺を見るなり少しニヤニヤと何かを言いたげだった。

 、、、もしかして、俺は試されたのか?

 フフフ、でも大丈夫だ、酔って寝てしまったから、俺たちの間には、一切何もない。


『もう、ヘタレなんだから」


『うるさいな、褒められてもいいくらいなんだぞ」


 すると、俺の後ろから、なんだかいかにも何かありました、って感じにしっとりとした玲子君がドアを開けて出てくると、、、彼女達三人は「やっぱり」って顔で俺たちを興味深く見てくる。

 、、ああ、完全に誤解されたな、一体なんの為の苦労だったんだよ。

 

 朝食の食堂で、今日これからの行動と、昨日のドラゴン退治の報奨金分配について話し合った。

 

「ドラゴン退治をしたのはユウスケなんだから、半分は貴方がもらうべきよね。」


「いや、我々は手伝っただけだから、ここにいる全員で同額分配でいいのではないか?」


「ええ、でもそれじゃあなんだか悪いなあ」


「いや、その代わり、これから君たちの行動に併せて、我々も同行してもいいかい?」


 俺は、彼女達に同行をお願いしつつ、この世界の何を変化させれば現世の世界線を戻す事が出来るのかを探った。

 シズの計算だと、そもそもこの時空間のこの地域に来たのは、その最も中心にある事象を目指して飛んで来たため、ほとんどピンポイントで問題の変化目標があるのだと言う。

 それなら、昨日のドラゴン退治自体が、その可能性があるのでは?と、シズに聞いてみたが、現世の第3次世界大戦は、元のまま変化していないとのことであった。

 それを考えると、この世界の何がトリガーになるのか、それを探すだけでもかなりの時間がかかりそうだ。

 しかし、あまり時間をかけていると、管理人に評定されてしまうから、案外急ぐ旅なのだ。


『シズ、何か手がかりでもキーワードでも無いのか?さすがにこのままでは発見自体が厳しいぞ」


『そうですね、本当にこのすぐ近くにヒントがあるはずです。彼女達三人の中に、重要人物がいるかもですね。」


 たしかに、変化に敏感なのは人間関係なのかもしれないな、俺は、まず彼女達について行き、ヒントが無いか探ることにした。

 しかし、期待とは裏腹に、てっきりダンジョン攻略にでも出ると思っていたこのパーティは、昨日のドラゴン退治によって得た報奨金によって、しばらくはゆっくりリゾートでも楽しもう、という流れだった、、。

 おい!、冒険は?、ダンジョンは?、ちょっと期待してたんだけど、、、魔法は?!

 、、、まあ、目的は冒険ではないので、仕方がないのだが、玲子君を見るとなんだかテンションが高めに見える、、、


『シズ、、、なんだか玲子君、楽しそうじゃないか?」


『ええ、どうでしょうね。美鈴がこのメンバーでリゾート楽しむ、と言うことは?」


「、、、言うことは?、え、何?」


『、、、、もう、本当に鈍いですねGF。それって堂々と美鈴とGFが恋人認定を受けての旅になるってことですよ、ね!」


 あわわわ、そうか、玲子君はそんなことを考えていたのか。

 、、、、かわいいところがあるじゃないか。

 なんだかイジらしく感じるな、俺のことを、そんな風に感じてくれて、素直にうれしいよ。

 ちょっと、ハネムーンっぽくて、いいよな!


『ちょっとGF、それは飛躍しすぎではないですか?私だっているんですよ。」


 もう、いちいち入ってくるね、シズ君!

 しかし、リゾートでこの世界を変える何かを探すって、ちょっと難しいんじゃないか?

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