第13話 新しい生活

 二ヶ月ほどして、オーリーはテレスフィオと共に真の聖女が誕生した国に移住する事になった。

 聖女への信仰を、キエル国王夫妻への断罪の一助で示す。それにはこの国が一番良いだろうと色々と画策してきた。


「テレスフィオがこんな事を考えていたとは知らなかったわ……私、宿屋で働いているのも幸せだったのよ」


 ささやかな邸を見回しながらオーリーが困惑しながら口にする。


「ですが、ずっと居候しているのもご夫婦に迷惑かなと思っておりましたから……」


 その言葉ににオーリーは、はっと瞳を瞬かせる。


「そうだったのかしら? 私ったらお二人に甘えてしまっていて、そんな事にも気づかなくて……」


 申し訳無さそうに萎れるオーリーにテレスフィオは声を掛けた。


「あちらのご夫婦が困らないように、今までお世話になったお礼は出来るだけ返していく予定です。それにここでも暇ではありませんよ、キエル国で貴族をしていた頃のような裕福な爵位ではありませんから、オリランダ様にも働いて頂かないとなりません」


 その言葉にオーリーは、パッと顔を輝かせる。


「私、働くの好きだわ! 頑張るわね! テレスフィオ!」


 新しい生活も、テレスフィオとならきっと楽しく過ごせると確信してしまうのだから、不思議だ。


「ええ……でも出来れば……」


 そっとオーリーの手に自分のものを重ねるテレスフィオに思わず顔が赤らむ。


「早めに、結婚式の準備を済ませましょう。お二人へのお礼も、吉報と一緒に届けた方が受け取りやすいと思いますから」


「はい……」


 にっこりと笑うテレスフィオにオーリーも笑顔を返す。

 過保護が過ぎるのがたまに傷だけれど、彼ほど自分を大事にしてくれる人には、もう一生出会え無いだろうから……


(きっと私は幸せなのだわ)


 テレスフィオの重ねたオーリーの薬指には、彼の瞳の色を思わせる、エメラルドの婚約指輪が光っていた。





 ◇ おしまい ◇


※ キエル王国の貴族たち

公爵家→偽聖女と知って養女とした事をテレスが掴んでいた為、連合国の裁判にかけられ罪に問われる。

自国にある財産は没収されキエル国民へ配布。その為、彼らは身一つで服役中。


他の貴族たち→薄々この国やべえと思っていた人たちは準備をしておいてさっさと逃げた人もいるし、国が変わってやっと再生への舵取りが出来ると奮起している人たちと様々。

連合国からその辺の指揮を受けた人たちに仕切られながらボチボチと頑張っている模様。

人手不足も深刻化を考え見極めが大変らしい。頑張れ連合国!



 読んで頂きありがとうございました(^_^)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。 藍生蕗 @aoiro_sola

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ