第11話 俺の呪縛が解ける時
俺ももう三十路か〜
なんかの雑誌で30歳まで童貞だと魔法使いになれるとか書いてあったけど・・・
もう俺なってる?
最近は仕事にも慣れてきた。
でも先輩にお供して、仕事あがりにパチンコ、飲み屋のルーティンが出来上がってる。
なんとかここから脱出しないと家族を増やす事なんてできっこない。
俺は市のボランティアで結婚相談所している人を紹介されて、そこに登録した。
何人か女の人を紹介されて会ってみた。
でも、みんな二十代後半で頼まれて登録してる人ばかりだった。
会って話してみると
「まだ結婚は・・・」
なんて言ってくる。
そんな時、公共でない結婚相談所から電話がかかってきた。
・・・なんで?個人情報は?魔法使いの名簿が存在するの?
「公共の結婚相談所もあるのでまずそちらを利用されたらどうですか?」
とか言われた。
「もうすでに登録しているんですが・・・ なかなかいい縁がなくて・・・」
「それでしたら、是非見学だけでも来てみてください。」
俺はあっさり説き伏せられてしまった。
しや〜ない約束しちゃたし行くだけ・・・
約束の日見学にいってみたら・・・
早速、利用料金の話しから始まった。
「入会金が30万円で、成婚の際には30万円かかります。」
・・・俺、また騙されてる。
今のままだと一歩も進まないので、結局利用料金払って入会してしまった。
あ〜?どんな人紹介してくれるんだろ?
なんて思って女性のプロフィール見てたら・・・
石井紗菜のプロフィールカードがでてきた。
・・・えっ?間違いないよな?
「すいません、この人紹介してください。」
俺はまた紗菜に会えると思うとドキドキしてきた。
「では後日、セッティングしますので、連絡をお待ちください。」
日曜日のお昼にセッティングしてもらい待ちあわせした。
紗菜は大人っぽいチェックのワンピースで現れたが。
結婚相談所の人は俺達二人をそれぞれ紹介した後、「後はお二人でごゆっくり!」って行ってしまった。
俺も緊張してたけど紗菜も緊張してるみたいだった。
「紗菜、綺麗な女性になったんだね。」
なんて変なこと俺は言ってしまった。
「でも、プロフィールの写真はビックリした様な顔してて面白かった。」
「そうそうあれ、撮り直しして貰うつもりだったんだけど・・・ さっさと次にすすめられて・・・」
紗菜は昔と変わりなかった。
「これから買いもの一緒に行かない?」
「ウンいいよ〜 何買うの?」
「それは・・・ 二人の再開記念に何か!」
紗菜と並んでショッピングできるなんて夢の様だ。
二人で駅前のデパートに行く事にした。
こういう時は手を繋ぐのってOKなんだろうか?
歩道で自転車とすれ違い、思わず紗菜の手をとった。
紗菜の嫌がる様子はなかったので、そのまま手を繋いで歩いた。
周りは街の騒音でウルサイ筈なのに、俺の心臓の音ばかりを感じる。
紗菜と繋いだ手が温かくて心地よい。
ずっと手を繋いでいたかったけど、すぐにデパートに着いてしまった。
「何、買うの?」
「そうね〜 記念にお揃いのハンカチとかどうかしら?」
「ウンいいね! 紗菜とお揃いのモノ持てるのが嬉しいよ。」
二人でチェック柄のハンカチを買い、その後喫茶店に入って他愛ない話しをした。
そして、その日は連絡先だけ交換して別れた。
週末急に、「夜景が見たくなった!」とか連絡が入り、紗菜を車に乗せて近くの山の展望台へ・・・
暫く街の灯りを二人で観ていた。
紗菜の瞳には街の灯りがキラキラ反射してる。
紗菜の唇は淡いピンク色になってる。
紗菜の手に俺の手を重ねたら、ちょっとだけ恥ずかしそうにしてた。
バスケの部室での事を少し思い出したけど、思いきって紗菜にキスしてみた。
今回、紗菜は俺を受け入れてくれた。
紗菜は俺の首の後ろに手をまわして、俺に舌を絡めてくる。
その後、俺の目を見てニコッと微笑んでくれた。
・・・なんだか俺、涙がでてきた。
「なんで泣いてんのよ?バカ!」
「ウルサイ! いろいろあったんだよ!」
「私もいろいろあったけど、また翔と出会えて嬉しいよ。」
「俺も嬉しい。」
「ねえ翔?高校の卒業式の日、瑠美に告白したでしょう?」
「なんで知ってるの?」
「私、それ見ちゃたから・・・ 私が翔に告白しようと思ったのに・・・」
「えっ?バスケの部室であんな事があったから・・・ 紗菜には嫌われていると思ってた。」
「あなたが、急にあんな事するから驚いてただけだよ。ちゃんと順番踏んでいたら・・・」
「俺達すれ違いだったんだね。」
俺は自分にかかっていた呪縛が解けているのを感じた。
きっと俺達はうまくいく。
「これからは一緒に幸せになろうね紗菜!」
俺の呪縛のとけるまで アオヤ @aoyashou
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