8話
快眠快晴の休日日和でついのんびりしてしまう体を起こし、欠かせない朝食を食べ電話を取る。
友達を遊びに誘うと付き合いの良い奴、つまり健太と佳奈子の何時もの面子が揃ってくれた。
ゲーセンに行ってから服屋に行くとのことで、女性は金が掛かるのなんの。とは言えゲームに白熱してついつい浪費してしまう俺の言えたことでは無いな。
佳奈子に負ける俺を想像しながら箪笥の奥に有るヘソクリから3万程抜き取り、集合場所である大学へ出る。
「遅いよ、何分待たせる気?」
「まだ5分前だぞ、お前こそ何分前から待ってたんだよ」
「レディとの約束は30分前に来ておくのが鉄板でしょ」
「デートでもなし、友人との集合は遅れなけりゃ問題ないだろ。てかレディってどこだよ」
わざとらしく辺りを見回す。
「は?ここに居んだろ、テメーの目は節穴か?」
鼻で笑い飛ばすと、佳奈子が睨み返してくる。
「てか、あいつまた遅刻かよ」
そう問題なのは暇潰しの口論中に、姿を現さなければ連絡もない健太なのだ。
「まあ、何時もの事でしょ」
確かにそうだ、佳奈子が拳を握り締めているのも。
それから少し、いやもう少し程待った。
「先行くか」
「そうだな」
ゲーセン迄の道中、健太への小言祭りだった。皮肉交じりの罵詈雑言を笑顔で手を握り締めながら言ってくる。
この爆弾が事を起こすか冷や冷やした。爆発は健太に食らってもらおう。
ゲーセンに着き、格ゲーで鬱憤を晴らされるかと思いきや、佳奈子はUFOキャッチャーの方へと向かって行った。
「格ゲーじゃなくていいのか?」
「クッションないとあいつの骨折りそうだから」
あの可愛いぬいぐるみがクッションに使われると思うと心底可哀そうでならない。
携帯を確認すると遅刻済の健太からメールが来ていた。
「健太から?」
佳奈子が狩人の様な冷たい殺意と共に、笑顔で尋ねてきた彼女に頷くと、携帯を俺の手から静かに奪い取った。
肝心のメールは本文無しの『今来たけどどこ?』だけだった。
佳奈子は悟られない様に居場所だけ伝えた。あの笑顔を携えて。
不平不満を陳べる者 勇者突撃型 @yuutotu
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