夢 誕生日




 全く見覚えのない懐かしいリビングだった。

 そうだ、今日は私の誕生日だ。だから縺頑ッ阪&繧�がホールケーキを買ってきてくれたのだ。


 ハッピーバースデートゥーユー

 ハッピーバースデートゥーユー


 薄暗いリビングで、縺顔宛縺輔sと縺頑ッ阪&繧�がバースデーソングを歌ってくれる。

 歌の終わりに合わせ、ケーキに立てられた蠟燭の火を吹き消す。一瞬、世界が真っ黒な闇に塗りつぶされ、完全な明るさを取り戻す。

「そういえば、蜊�ァ�はまだ来ないのか?」

「遅くなるかもって言っていたし、そのうち来るでしょう」

 真っ黒に炭化した焼死体がぼやくと、食い千切られた跡が沢山ついた腐乱死体が答える。

「ね、じゃあもうケーキ食べちゃおうよ」

「そうね、先に切って食べちゃいましょう」

「私の大きく切ってね!」

「はいはい、遅刻する誰かさんの分を小さくしちゃいましょうか」

 私がケーキを催促すると、腐乱死体がナイフを手に取り、ゆっくりとケーキを切り分けていく。どろりと腐乱した体液が純白のケーキに垂れ落ちた。

「しかし×××も大きくなったよなあ」

「当たり前でしょ。というか縺顔宛縺輔sそれ年寄りみたい」

「ええっ、それは酷いなあ」

 アハハと焼死体が笑う。笑いすぎて炭化して脆くなっていた体が崩れる。椅子の上には粉々になった炭の小山だけが残った。

「縺顔宛縺輔sったらもう何やってんの」

 腐乱死体もアハハと笑った後、切り分けたケーキを食べる。ケーキは口内を通過した後、そのまま腐った体を落下し、元々ズタボロだった体にさらに致命的な穴が増える。

「このケーキ美味しい。甘過ぎない甘さ。このケーキ美味しい。甘過ぎない甘さ。このケーキ美味しい。甘過ぎない甘さ」

 腐乱死体は自分のケーキを食べた後、残ったホールケーキを手掴みで飢えた野犬にように食べ始める。ケーキを食べる都度腐った体に穴が空き、ついにはぐずぐずに崩れてしまった。

 そうして素晴らしい誕生日の席に私だけが残る。蜊�ァ�はいつ来るのだろうか。もうすぐ来るだろうか。それとも遅くなるのだろうか。

 私は待っていた。ずっと待っていた。ケーキが駄目になっても待っていた。蜊�ァ�はまだ来ない。

 私は待っていた。

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