大太坂

安良巻祐介


 仙骨異常で有名だったモヲというその男は、晩に転がり落ちた坂の下で朝、目を覚ましたが、自分の体がめちゃくちゃになってもう元通りには直らないことに気がつくと、フウと長い息を一つついてから、そのままそこで安らかになったのだという。

 サテ、今、皆さんが立っているその辺りにモヲの頭があったのです。とはいえ今ではほとんど風に吹き散らかされて、そこらの石に混じって指や爪の欠片かけがぽつぽつと落ちているくらいがせいぜい。拾って眺めるくらいならいいが、見に覚えのない思い出に陥って戻れなくなる危険性が高いため、持ち帰ることはお勧めしません。


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大太坂 安良巻祐介 @aramaki88

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