この世界の終末に。
海月
第1話
「続いて事象予報です。本日午前6時頃、事象庁のSUNが新たな予報を提示しました。
2050年12月24日の午後22時にこの世界が終わる、との事です。」
ゴホッ!僕はむせそうになりながらコーヒーを飲みほした。朝から物騒なニュースを流すなあと思いながら食器を片付ける。
この世界には事象予報というものがある。
ちょうど天気予報のようなものだ。当たったり当たらなかったりする。ただ、天気予報と違うのはSUNという人工知能が予報を提示するという点である。2050年現在、こんなものが存在している世の中は少し変だと思う。
人類は地球温暖化により深刻化した度重なる災害や事故、感染症に悩まされていた。
そんな中、さまざまな先進国から集められた学者たちが討論の末、開発に至ったのがSUNである。まだ、的中率は89%と確実とは言い難い。それゆえに、今は選ばれた3つの先進国のみが実験と称して使用している。
その1つが日本というわけだ。
SUNの開発当時は小学3年生だった僕も、もう高校生になった。食器の片付けが終わって、洗濯機のある脱衣所へ向かう。
ほぼ1人暮らしに近い僕は家事を全て自分でこなしている。途中で壁にかかっている電子カレンダーに目を向けると12月22日(日)と表示されていた。
2日後に世界が終わるのか終わらないのか。そんなことは僕にとってどうでもよかった。平日に洗っていない分の洗濯物が山になっているのだ。
洗濯機を2回に分けてまわそう。そんなことを考えながら、脱衣所へ向かった。
この世界の終末に。 海月 @nijiirohotaru
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