第1話②出会い

「小沢 優(おざわ ゆう)です!よろしくお願いします!!」

中学では野球部だったが、高校から陸上部に入った僕。もちろん、『昇さんを追いかけて…』が理由だ。

入学式での生徒会長の挨拶の時、あの凛々(りり)しさについ惹(ひ)かれてしまったのだ。



先輩の挨拶が始まった。

「部長の永田 昇(ながた のぼる)です。よろしく」

そう言って、手を差し出してきた。

「よろしくお願いします!!」

つい、その手を両手で握(にぎ)ってしまった。

「よ…よろしく…」

「わっ!すみません!!」

僕は、慌(あわ)てて手を放した。

昇先輩は、驚いた様子だった。



“中学では野球部だったから、付いていけるかな?”と心配だったが、何とか引退まで続ける事が出来た。


「お前…。陸上の才能あるよ!」と早くから顧問の先生にも言われ、2年生の後半からは部長を任(まか)された。



大学でも、昇先輩を追って陸上部に入った。

「永田先輩!」

「小沢!?お前、この大学来たのか?」

「はい!先輩を追いかけて来ました!!」

そう言うと、先輩は僕の髪をクシャクシャにしながら言った。

「この~!カワイイ事言ってくれるじゃね~か~!!」


先輩は、高校の時と変わらない笑顔で迎えてくれた。

それがとても嬉しかった。

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