131話。4章エピローグ。【夏祭り浴衣ガチャ】キャンペーン開催!
「やったですの! マスター、温泉宿のお客さんがこんなにたくさん!」
村の入口から長蛇の列を作っているお客さんを見て、温泉の女神クズハが感涙を流した。
彼らの多くは王都からの観光客だ。
王都でのクズハ温泉の宣伝が、功を奏したみたいだ。
僕はクズハの頭を撫でてやった。
「やったな。クズハが毎日、まじめに努力したおかげだな」
「違うですの! 最大の勝因は、なんといってもマスターが王都を救ってくれたからですの。王都からのお客さんは、みんなマスター目当てですの! クズハの力じゃなくて、マスターのおかげですの!」
クズハがうっとりと気持ちよさそうに目を細めながら告げた。
「メーティス様の漫画コーナーも大好評! これも全部、マスターのお力ですの!」
「つまり、アルトの活躍にプラスして、ガチャに課金したおかげということね! この調子でお金を稼いで、これからもガンガン課金しましょう!」
ルディアが調子に乗って叫ぶ。
「とりあえず、王女様にもらった指輪をイヌイヌ族に買い取ってもらわなくちゃね! それから、ヘルズウサギのラビットファーもかなりのお金になるようよ。やったわね!」
ヘルズウサギのラビットファーは防具や防寒具の素材として優秀らしく、高値がついた。
そこで新しく領民となった元帝国の奴隷たちの一部は、ヘルズウサギの伸びすぎた毛をカットする仕事に就いてもらった。
「もきゅきゅーん!(涼しくなって、助かるのだ)」
モカも毛のカットをしてもらってご満悦だ。まだ、時期は夏だからな。
「そうだな。今、イヌイヌ族に指輪の鑑定をしてもらっている。今日中には換金されると思うから、そしたらガチャに課金しよう」
「やったぁあああ! もしかすると【神様ガチャ】の夏祭りキャンペーンとか、また来るかも知れないわ。夏限定の浴衣の美少女キャラとか、もらえるヤツが!」
「って、なんだ……浴衣の美少女キャラ?」
この前の水着キャラがもらえる夏の戦力強化キャンペーンも意味不明だった。
【神様ガチャ】は未だに謎が多いというか、僕の理解を超えた部分がある。
「その時までに、ガンガンお金を稼いで、ガチャに大量に突っ込めるようにしておかないとね!」
「むぅ~! ルディアお姉様、儲かったお金は、温泉宿の増築に使いたいですの! この調子なら、1日のお客様の数が1000人を確実に超えますの!」
「あっ! そうなったら、クズハの温泉バフの効果が、全ステータス値3.5倍アップになるんだよね」
「はいですの! 温泉の女神としてのクズハの能力が、さらにトンデモナイことに! でも、さすがに今の部屋数だと物理的にお客様1000人は、無理ですの。従業員も、もっともっと雇いたいですの!」
クズハが懸命に訴える。
温泉宿の増築か。それも良いな。
【神様ガチャ】に課金するためのお金を稼ぐためにも、村の事業に投資する必要がある。
「マスター。私も武器屋の店員が欲しいところです。それと鍛冶の助手なども、いれば助かります。さすがに仕事が増えすぎてしまっていまして……」
「私の剣神道場ももっと大きく、立派にしたいわ! クズハばっかりズルいわよ!」
ヴェルンドとアルフィンも、ここぞとばかりに直訴してきた。
「そうだな。とりあえずリリーナとよく相談だな。新しい村の開拓も急務だし……」
やりたいことがいっぱいだな。
さて、何から手をつけていくべきか。
その時、場違いなファンファーレが鳴り響いた。
『【神様ガチャ】夏祭りキャンペーン開始!
騒げや歌えや、浴衣姿の女神たちと一緒に、夏祭りを楽しもう!
今から1週間、【夏祭り浴衣ガチャ】を開催します! 期間限定の浴衣姿の女神がゲットできます! 期間中、神聖石30個が100万ゴールドで買える夏祭りパックを販売!
10連ガチャで、お好きなSSRの浴衣キャラをひとり指定して貰えます!』
システムボイスが夏祭りキャンペーン情報を伝えた。
「きったぁああああ! きたわよ! 夏祭りキャンペーンが! 神聖石30個が、100万ゴールドって、すごいお得じゃない!? これは今すぐ課金だわ!」
ルディアが狂喜乱舞の大絶叫を轟かせた。
ちょうど神聖石は30個ほど溜まっていた。
課金すれば神聖石50個で、SSR出現確定の10連ガチャが回せるぞ。
「アルト様! こちらの指輪、100万ゴールドで買い取らせていただきますワン!」
「アルト様とお付き合いさせていただいてから、ボロ儲けが止まらないワン! これからもよろしくお願いしますワン!」
イヌイヌ族が金貨を満載した宝箱を喜び勇んで持ってきた。
ナイスタイミングだ。
「よし、さっそく課金するか」
「うん!」
ルディアが満面の笑みを浮かべる。
「マスター、浴衣夏祭り、楽しそうですの! ガチャで浴衣のクズハを当てて欲しいですの!」
「クズハはいつも浴衣みたいな格好しているでしょう! ここは浴衣の美少女剣士アルフィンを当ててくださぃいいい! さらにパワーアップして、マスターのお役に立ちます!」
「ふむ。浴衣というのも楽しそうですね」
「いいや、私よ! 浴衣でアルトと夏祭りデートするのよ! ひと夏の思い出を作るのよ!」
女神たちは自分こそ当てて欲しいと、わいのわいの騒ぎ出した。
浴衣の彼女たちが当たっても楽しそうだけど、もしかするとまた新しい神様が出現するかも知れない。
僕はワクワクしながら、課金を宣言した。
「夏祭りパックを100万ゴールドで購入! 神聖石50個投入! 10連ガチャオープン!」
金貨が光に包まれて残らず消滅する。
みんなが注目する中、僕の目の前で、まばゆい光が弾けた。
―――――――
作者からのお願い。
これで4章が完結となります。
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神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~ こはるんるん @yosihamu
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