第3話 私はサンドバッグじゃありません
「いらっしゃいませ〜」
接客のバイトにも慣れてきた今日この頃。
といってもまだ5回めなんですけどね
「袋はどういたしますか?」
「もらうわ」
ニコニコとしたマダムって感じの雰囲気のおばさまとか、ダンディーなおじさまとかが250人のうちに1〜2人くらいの割合で見えたり。
ニコニコしたお客様には本当こっちも自然とニコニコと接客出来ますよね。
私もお客さんな時は店員さんにもニコニコと丁寧に接しようと思いましたよ、このバイトはじめるまで気づかなかったですけどね。
「ありがとうございました」
よし、絶滅危惧種のマダム然のおばさまがお帰りになりましたよ。
私も接客が板についてきたんですかね〜
うふふふん、と調子に乗っていたらやっぱりきましたよ。
嫌ぁなお客様。
いやいや別に私店員ですし?
お客様を選べないようにお客様もまた店員を選べないのも理解してますよ?本当ですよ?
だから私が偉そうに「嫌な客」とか言えた立場じゃないのも充分承知してますよ?
しかし、しかしですね!
明らかにムスッとして出口から逆走してきて品物投げてきたら
これは嫌な客でしょう…
「ふーん、砂月?って言うの?いらっしゃいもないのかよ」
「…いらっしゃいませ」
チラッとこちらをみたお客様は明らかにナニカにイライラしているご様子でして…
「チッ」
今この人私の顔見て舌打ちしましたよ⁉︎
確かに私の顔はお世辞にも可愛いとか綺麗とか言えないのは分かりますけど、そんな舌打ちするほど不快ですか⁈
特大級のジャブを食らって内心若干ビクビクしながらもレジに商品を通していく。
「180円になります」
チャリンッと音を立てて投げ置かれた100円玉2枚。
このお客にも私は賽銭箱に見えるのでしょうか?
いえね、この小銭が私のものになるのならまぁ賽銭箱にでもなりましょう。
しかしですね?
このお金は私の物にならないんですよ。
バイト代貰ってるだろ?
はい、確かに貰ってますね。最低賃金ギリギリのバイト代を。
「さっさとしろよ」
あなた聞こえないくらいの声で呟いてるとお思いでしょうが、案外聞こえてるもんなんですよ。
特に聞こえてほしくない言葉ほどね。
「ありがとうございました」
商品を紙袋に詰めてお客様に差し出す。
これで私のミッションクリア!
よっしゃあ!と思っていると
「ちゃんと接客しろよ」
ん?ん?
私の聞き間違いですかね?
出口から逆流してきた挙句品物は投げてお金も投げて舌打ちして?
挙句店員である私の方にちゃんとしろ、と
はいはいはいはい理解理解。
「それあなたが言う?」
うっかり流れるように口をついちゃいましたよ。
うっかりですよ?本当ですよ?
すっごく睨んでますがキョトンとしておきましょう。
砂月家はこう言ったおとぼけ顔が得意な一族なんですよ。
内心ではさよならバイバイしておきましょう。
*念のため注意*
このお話はフィクションです。
とある大学生のひとりごと 嘉月抹茶 @rta_36
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